先週の日経平均は前の週に比べて150円余り上昇した。ボラティリティ・インデックスの低下に見られるように相場もだいぶ落ち着いてきたようだ。先々週は前日比で300円を超える変動が3日あったが、先週は100円台の変動が3日。勤労感謝の祝日を挟んで金曜日は27円高と小幅な上げにとどまった。ローソク足を見ると週前半3日はすべて陰線だったが、週を通じてヒゲは上に出ている。相場が上に行きたい証拠であろう。週末金曜日は円高を受けて安く始まったものの切り返してプラスで終った。先高観の表れと思われる。

今週は月末月初に当たり、経済指標の発表が目白押し。日本では30日に鉱工業生産、1日にはCPIと7-9月期法人企業統計が発表される。米国では27日に新築住宅販売件数、29日は7-9月期GDP(改定値)とベージュブック(米地区連銀経済報告)の発表がある。30日はPCE(個人消費支出)とPCEコアデフレータ、12月1日はISM製造業景況指数が発表される。

中国では30日に政府版の製造業PMI、1日には財新版製造業PMIが発表される。前回発表された10月のPMIは市場予想よりも大幅な落ち込みとなった。不動産市場の軟化や環境汚染対策の強化で、製鋼所や製錬所など多くの工場が生産削減を余儀なくされていることが背景とみられる。今回発表される中国のPMIにも生産規制の影響が残る可能性があるので要警戒である。

一方、年初から上昇基調にあった中国国債の利回りは10月に入ってから、急上昇。当局が企業の借り入れと資産運用業界を対象に規制強化を示唆したことが背景だ。指標となる10年債利回りは直近一時4%を上回り、2014年以来の高水準となり上海株も不安定な動きとなっている。PMIと併せて金利動向にも注意を払いたい。

経済指標以外のイベントとしては28日にFRBの次期議長に任命されているパウエル理事の公聴会がある。イエレン路線を踏襲するような発言があるかがポイント。30日にはOPEC総会が開催される。サウジを中心に中東の混乱が続くなか減産延長協議の行方が注目される。

一方、日本では日銀総裁人事に関する思惑も浮上しそうだ。先週金曜日、日経平均がプラス圏に切り返したのは安倍首相が午後に、浜田内閣官房参与や本田駐スイス大使と会談したと伝わったことがきっかけだった。

こうしたなか、今週の日経平均は2万2000円台半ばを固める動きとなろう。ここでの値固めは9日の取引時間中につけた高値2万3382円を再度試しにいくためのものである。早いもので今週末から師走相場入りだ。掉尾の一振という言葉も聞かれ始めるころである。

注目セクターは設備投資関連。26日付け日本経済新聞は今年度の設備投資動向調査によると、全産業の投資額は16年度比で15.8%増と大幅に増える見通しだと報じた。さらに財務省や経済産業省は2018年度税制改正で、IoTなどの新技術に対応した設備投資を対象に減税する方針とも伝えた。電機、機械、システム会社などを中心に幅広い銘柄に物色が広がりそうだ。

なお、個別の材料だが、日本電産の永守社長が75歳で社長職を退く意向を明らかにした。永守氏の強烈な経営力が同社の魅力の大きな部分なので株価への影響が注目される。

今週の予想レンジだが、25日線が伸びてくる2万2300円を下値目途としてよいだろう。上値は9日高値から16日安値(2万1972円)までの下げ幅に対する半値戻しの水準(2万2677円)をまずクリアすることが肝要だ。先週はここでぴたりと頭を抑えられたが今週は抜けるだろう。そうなればフィボナッチの61.8%戻しにあたる2万2843円が次のターゲットだろう。