先週、日経平均は大きくギャップアップして始まり、2万円の大台をあっさりと回復した。8日から13日にかけて窓を3つ空けて上昇した後、利益確定売りに押されたが、さらに大きな窓を空けて上放れた格好だ。12日付けのストラテジーレポートで、それまでの慎重スタンスを撤回、相場の潮目が変わってきたと書いた。テレビ東京のニュースモーニングサテライトに出演した際に、ふつうは「三空に買いなし」だが、本当に強い相場はそうしたテクニカルの定石を破ってくる、今回もここで終るような気がしない、と述べた。その時点ではリスクの後退(北朝鮮、米国の債務上限等)が主な理由だったが、そこに解散・総選挙という新たな材料が加わった。

従来から「選挙は買い」だが、直近2回の衆院選で現与党が勝利したあと株高の流れにつながったことから、今回も材料視されている。自民党が8~10日に行った衆院選情勢の調査結果は現有286議席から「12~30議席減」となるが、自民党単独で過半数は維持する、というものだった。しかし単独過半数はおろか、17ある全常任委員長ポストを押さえ、過半数の委員も送り込める絶対安定多数も上回るとの見方もある。「選挙は水もの」で蓋を開けてみるまで結果はわからないが、おそらく与党の圧勝だろう。大きなラリーとなった2005年の「小泉・郵政」衆院選型の展開となる可能性もある。

22日の投開票の直後から、4-9月期の決算発表が始まる。世界景気の堅調さ、110円を超えて推移するドル円相場などを考えれば上方修正が相次ぐ期待もあり、良い流れが継続していくだろう。

ドイツの議会選挙はメルケル現首相のキリスト教民主同盟(CDU)が最大議席を取り、メルケル氏の4選が確実視されている。一方、極右政党が議席を伸ばし連立は難航する見通し。ただ、これで一連の欧州の選挙イベントが終了したことは間違いない。選挙イヤーだった欧州の政治リスクも後退する。

そこに米国で税制改革がまとまる期待が浮上すれば、リスクをとる動きが加速するだろう。ホワイトハウスと議会共和党指導部は今週、税制改革の統一した枠組みを示せるとしている。果たして発表されるだろうか。トランプ大統領は過去にも「ここ2-3週間のうちに驚くべき減税策を発表する」と大言したことがあったが、いまだに実現されていない。当然、市場には疑念もあるが、これはどっちに転んでも相場の好材料だ。発表されないうちは、何が出るかわからないので売るに売れない。発表されたらされたで「ついに出た」「ようやく動き出す」という期待が相場を押し上げる。材料出尽くしとはならないだろう。

これから年末にかけて久しぶりに大きな相場が来る予感がある。

今週は上半期の期末に当たる週。権利・配当取りや配当落ち分の再投資などもあり、基本的に堅調に推移するだろう。日経平均は2万500円の節目超えにチャレンジする場面もあるだろう。予想レンジは2万100円~700円とする。