今週の注目材料は、6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議案の採決だ。米国連代表部は、国連安保理に11日の採決を要請する方針だと改めて発表したが、はたして中国・ロシアの合意をとりつけることができるか不明である。今回の米国の決議案は石油の全面禁輸や北朝鮮人労働者の雇用禁止などが盛り込まれた厳しい制裁案だけに、交渉は難航するだろう。
この問題はどちらに転んでも「一時的に」相場の悪材料になる。中・ロが米国決議案に同意すれば、北朝鮮の暴発リスクが意識される。9日の建国記念日には挑発行為を見送った北朝鮮も、決議の行方次第で反発を強め、一段とエスカレートした行動をとる恐れもある。中・ロが反対にまわれば、米国と中・ロの対立があらためて浮き彫りになり国際的な不安感が増す。なにより、対話も制裁もできないとなれば、いよいよ軍事行動しかオプションがないという雰囲気になるだろう。実際のところは誰にもわからないが、市場がそういうリスクを意識すること自体、悪材料になる。
国連安保理決議を巡って今週も週明けから重苦しいムードが市場で支配的になるだろう。その象徴が107円台に突入した円高の加速である。「円高で業績の下方修正が懸念される」とはいうものの、この程度の円高であればそれほど大きな影響はない。ただ、市場のセンチメント悪化要因であることは間違いない。
指標で注目は米国では14日に発表される米国の消費者物価指数。コア指数の7月分は前月比+0.1%と市場予想(+0.2%)を下回った。市場予想を下回るのは5ヶ月連続。インフレの弱さが明らかになれば米国金利が低下、さらに円高に拍車をかける要因ともなる。
今週は国際情勢と米国の経済指標から円高警戒感が強い展開が予想される。節目の105円接近となれば日経平均の19,000円割れも視野に入るだろう。唯一、期待できる明るい材料は12日のアップルのイベントだ。iPhoneの新機種が発表されれば、アップル関連銘柄を中心に電子部品株がにぎわうだろう。
今週の予想レンジは18,900円~19,400円とする。