先週の日本株市場は日経平均が2万円を回復できずに終わる冴えない展開だったが、その後海外の先物市場で日経平均先物は反発した。シカゴの日経平均先物は2万20円で引け、7日の大阪取引所終値を70円上回った。NY時間の朝方発表された6月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に上回る伸びとなり、ドル円が一時、114円台をつけるなど相場の地合いが改善した。これを受けて週明けは反発して始まることが予想されるが、週を通じて再び2万円台を固めることができるかが焦点である。日経平均は下値支持線となっていた25日移動平均線を割り込んでしまったが、現在2万40円程度にある25日線を早期に回復することが鍵である。
日経平均が2万円を固めるにはグローバルな株式市場が安定を取り戻すことが条件であろう。いま注視されるのが金利上昇への耐久性だ。株価にとって金利上昇は理論的にはマイナスの効果だが、実際の相場では必ずしもそうではない。足元で起きている海外金利の上昇が一段と高まるのか、その場合、欧米株式市場は落ち着きを取り戻せるのかがポイントである。
今後の海外金利の動向をみるうえで重要なイベントのひとつが12-13日に予定されているイエレンFRB議長の半期議会証言だ。イエレン議長の発言からバランスシート縮小の開始タイミングなどの示唆が得られるか市場の注目度は高い。12日にはベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されるが、より重要な指標は14日に発表される6月の消費者物価指数CPIであろう。5月は市場予想を下回り、2015年5月以来の低い伸びとなった。雇用統計でも賃金の伸びが鈍かっただけに、再びCPIが弱い数字となると足元の金利上昇も一服、当然ドル円も円高に巻き戻る可能性があろう。
今週からいよいよ米国の4-6月期決算発表が本格化してくる。14日はJPモルガン、シティグループ、ウェルズファーゴなど金融機関の決算発表がある。このところの金利上昇を受けて海外では金融株が買われているが、日本市場への波及は弱い。確かに日本で金利が上昇しなければ日本の金融株を買う理由は乏しい。それでも米国での金融機関の業績が良ければ、米国でオペレーションをおこなう本邦銀行にもポジティブな連想は働くかもしれない。
いずれにせよ米国時間14日の材料は今週の日本株相場に反映されない。よって14日のCPI、米銀決算などを見極めたいと週末は見送りムードが高まりやすい。週を通じて弱い地合いが続き、2万円を回復できない水準で推移すれば、週末にはオプションのSQ算出を控えて、1万9750円の行使価格を巡る攻防となる可能性もある。
今週の日経平均の予想レンジは1万9750円~2万300円としたい。