今週の焦点は13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)である。今回の利上げはほぼ織り込み済みで、市場の関心は「今後」に移っている。端的に言えば、そのヒントを示唆するかもしれないFOMCメンバーの経済・金利の見通しだ。前回3月のFOMCの結果をおさらいしておこう。2017年末のFF金利予想中央値は1.375%で12月から変わらず、利上げ見込みは年3回。2018年末の中央値も2.125で変わらず。2019年末は2.875から3.000へと上昇、長期見通しは3.000で変わらずだった。これがどう変わるか、変わらないのか、その場合のマーケットの反応はどうか。もうひとつのポイントはFRBのバランスシート縮小議論。国債等の償還分の再投資をどのタイミングでやめるのか。今回のFOMCでなんらかの示唆があるのではないか注目される。

その後、15~16日は日銀金融政策決定会合が開催される。今回も現状維持、政策変更なしがコンセンサスだが、市場とのコミュニケーションが重視されるなか会合後の黒田総裁の記者会見が注目される。先週、日本銀行が異次元緩和の出口をめぐる議論で「時期尚早」としていた姿勢から市場との対話重視の方向に修正しつつあるとの報道を受けて債券市場が大幅安となる場面があった。為替も一気に50銭程度円高に振れる場面があった。対話重視は当然、日銀に求められる姿勢だが、それを出口論と結びつけるのは違和感がある。市場が過敏に反応しただけに、日銀のコミュニケーションには注意を払いたい。もうひとつのポイントは、長期国債の保有残高増加額の目途を修正するかどうか。維持してきた「80兆円」という数値目標を外すかどうか。ECBが緩和維持、FRBも次の利上げのヒントを示さないとすれば、日銀だけがスタンスを出口よりに修正すれば、円高を招くだろう。国債残高増加額の目途については今回に限るものではないが、警戒したい。

経済指標は14日の米コアCPIの発表に注目。4月は2015年10月以来1年半ぶりに前年比で2%を割り込んだ。

先週、金曜日は米国のハイテク株が総崩れとなった。アップルは4%安、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックは3%安。9日の主力ハイテク株はいずれも今年最大級の下落率となった。業種別S&P500種株価指数の「情報技術」は年初から6月8日まで22%上昇していた。市場平均の倍以上で過熱感を指摘する声もあった。米国株をけん引してきたハイテク株がこのまま本格的な調整に入ると市場のセンチメントに大きく影響する。一時的な落ち込みですぐに切り返すことができるか、日米の金融政策より、実はこちらのほうが大きな注目点であろう。

日経平均の予想レンジは19,800-20,300円としたい。