米国の雇用統計を受けて為替が円高に振れている。週明けから早速、日経平均が2万円の大台を維持できるかに市場の目が注がれることになるだろうが、あまりたいした問題ではない。日経平均が2万円の大台を前に足踏みを続けているとき、僕はこう述べた。<「1万9998円」と「2万円」、実質的に何が違うのだろう。ここまで来たら、少なくとも経済的な価値は同じではないか> と。だから、2万円の大台を回復した今となっても同じことだ。株価は変動するのが当たり前でいずれ2万円を割り込む場面もあるだろう。だからと言って、今度も「2万円割れ」に特段の意味はない。

ただし、日経平均が2万円の節目を抜けたことで、仕組み債などに絡む先物のヘッジ売り圧力が解消されて上値が軽くなっている面はあるだろう。一方、たまっていた空売りが「踏まされて」つけた2万円なら、逆に潜在的な買い需要はある程度出てしまったかもしれない。

今週の経済指標は重要なものがあまりない。5日に米国ISM非製造業景況指数、日本では8日に1-3月期GDP成長率(2次速報値)、5月景気ウォッチャー調査が発表される。あえて注目を挙げれば8日に発表される中国の5月貿易統計か。中国景気の減速が懸念されるなか、6カ月連続で伸びている輸入の堅調さを確認したい。

今週の焦点は経済指標より8日に集中するリスク・イベントだ。英国総選挙、ECB定例理事会、コミー前FBI長官の議会証言がある。よって週前半は利益確定売りも出やすく、日経平均は2万円を挟んで売り買い交錯となるだろう。日経平均が2万円の大台を前に停滞していたゾーンである1万9800円台が押し目では下値抵抗となるだろう。アップルは今週、開発者会議を開催する。アップルがけん引役となって米国株が一段と最高値を更新するような展開となれば、日本株にとっても日経平均2万円台中盤へ上昇する追い風となる。

日経平均のレンジは1万9800円~2万500円としたい。