中国が、二日連続で人民元の対ドルレートを切り下げました。この"二日連続"と云うのが気になります。昨日の切り下げも意外でしたが、今日も続けて切り下げるとは、流石にほとんどの人にとって想定外だったのではないでしょうか。昨日の切り下げはビックリしたが、想定内であった、或いは想定内であったと後講釈できる程度の意外性であった。しかし今日の連続切り下げは、本当に想定外であった、と云えるでしょうか。そういうことを演出した中国政府の意図はなんでしょうか?

IMFのSDR(特別引出権)への人民元組み込みを狙うため、或いは国内から国外への資本流出を増やさないため、或いは国力の示威のために、中国政府は人民元を切り下げない、という期待を裏切りたかったのでしょう。これらのうち、SDR組み込みとか、国力の示威というのは、感覚的なものであって、実質的に重要なのは資本流出です。これさえ抑えられれば、輸出促進を含めた国内経済のテコ入れのためには、元は切り下げた方がいい。元が国際化されていない今、変動相場制でもない今、資本規制さえ更に厳しく行えば、元を切り下げた方が実が取れると考えたのでしょうか。

しかし何故それを敢えて強く印象付けるように二日連続の切り下げを行ったのか?謎です。ここで切り下げを止めるならば、敢えてそんなことはしなかったでしょう。或いはそもそもこの二日分程度の切り下げ幅を考えていたが、先ずは半分ほど切り下げて様子を見て、一気に残りも切り下げたのか。その場合は当面これで切り下げは止まるのか。世界全体のお金の流れが変わるような、大きな出来事が起きつつあるのかも知れません。注意深く観察して、何が起きようとしているのか、考えていきたいと思います。