ビットコインに絡む犯罪容疑が報道されていますが、ビットコイン自体が犯罪的な訳ではありません。いやむしろ、ビットコインは、その取引履歴などがトレース(追跡)出来るという意味で、非犯罪的だと考えることも出来るでしょう。ただ国家権力から離れたところで利用出来るという意味において、犯罪に絡む決済に使われる、即ち麻薬や武器売買の決済に使われる可能性は高く、そういった意味では犯罪的であり得ます。
しかしこの意味で、世界で最も犯罪決済に使われる通貨は、云うまでもなくドル紙幣です。映画のシーンで麻薬の決済に使われるのは、トランクに入ったグリーンバック(ドル紙幣)と相場は決まっています。このように一旦アングラ決済に使われたドル紙幣は、いわば足が付いてしまうので、二度と銀行に戻ってくることはありません。アングラ世界でぐるぐると使い回し続けられるのです。
通貨は、国や中央銀行の借用証書です。それを持っている人は、いつでも国に対して要求払い出来ます。通貨は、国にとっての借金、負債です。ところが、上記のように一度アングラ世界に回ると、二度と要求払いに来ませんから、国から見るとこれは負債が株式になるようなものです。刷ったもん勝ちです。
金融の専門用語ではこれを、デット・エクイティ・スワップ(DES、債務の株式化もしくは資本化)といいます。これは国にとってはめちゃくちゃ都合のいい話です。基軸通貨国にとって、通貨発行は、とっても儲かるビジネスなのです。実は基軸通貨国に限らず、大量に通貨を発行する国は、やはり通貨がどこかで消えてしまって、これはタンスに隠して忘れてしまうとか、その他の理由で要求払いがされなくなってしまうことは、ある程度はあるので、通貨ビジネスはいいビジネスだと思うのです。
皮肉的ですが、ビットコインなどの仮想通貨が犯罪決済に大きく使われるようになると、表だっては云いませんが自らの利益を守るために、いずれ大国は仮想通貨の規制取り締まりを厳しくしていくだろう、というのが、私の個人的な読みです。さて、どうなることやら。