今日、アメリカについて取材されました。アメリカの最初の印象はどうだったのか?と云うような質問から始まりました。随分とザックリとした質問ですが、ゆっくりと、30年前のことを思い出しました。

二十歳まで本州を出たことがなかった私が、生まれて初めて行った外国がニューヨークでした。今と違って臭くて、治安が悪く、今もそうですがうるさくて、色んな人がいて、とにかくダイナミズムに溢れている場所でした。夜は外で発砲のような音が聞こえたこともありました。今と違ってジャズを演る場所がダウンタウンには溢れていて、ヴィレッジの横道を歩いていると自然と店の中から生演奏のジャズが聞こえてきたりしました。美術館が多く、オフブロードウェイなどもあって、とにかく刺激に満ちた場所でした。

ニューヨークのいろはを教えてくれた友人のおばさんは、歩道は建物側を歩いてはダメで、車道側を足早に歩くこと。街中で地図を開いてはならないこと。手に荷物を持ってはいけないこと、全て肩から掛けること。自分は銃を持っていないことを認識すること。等々を教えてくれました。通りには、当時は日本にまだなかった高層マンションがにょきにょきと建ち並び、一番上はピラミッドのような形をしていたり、なんか不思議な形をしていました。

あれは何ですか?と聞くと、それはペントハウスなる代物で、最上階全てがひとつの部屋であると知りました。いやー、驚いた。ダイナミックで、刺激的で、文化豊富で、能力をリスペクトし、成功するとビルの屋上に住める街。おばさんに半分冗談で、自分もペントハウスに住めるようになりたい、と云った記憶があります。それが私にとってのアメリカ初体験でした。

色々なことが今は変わりました。しかしその頃のニューヨークの雰囲気と自分の気持ちは、やはり私にとっての原風景です。いい取材でした。さて総会シーズンも終わった週末が来ます。良い週末をお過ごし下さい。