今日昼下がりに、以前よく行った、べらぼうに美味い蕎麦屋の前を通ったので、そしてまだお昼を食べていなかったので、この時季に寄っても「何しに来たの?」
と云われるかとも思ったのですが、他に食べるところも思い浮かばず、寄ってみました。女将さんに鳥南蛮蕎麦と頼むと、一旦厨房に行ってから戻ってきて、鳥南蛮は出来ないとのこと。鳥がないと云うことですか?と聞くと、はいそうです、と云うので、鴨南蛮蕎麦を頼みました。厨房との境には暖簾が垂れており、親爺の姿は見えません。今日はこのまま帰ることになるだろうと思ってスマホでメールの処理などしていると、暖簾の奥から懐かしそうな笑みを湛えて親爺が出てきました。

松本さん、新蕎麦ですよ。他所はまだどこもやってないと思うんですけど。え!?
もう新蕎麦があったのですか?ならば冷たい蕎麦を頼んだのに。と云ったのですが、もう既に間に合わない様子でした。新蕎麦なら種物は頼まないのになぁ。然しながら、果たして出てきた鴨南蛮は、とてもとても美味しい蕎麦でした。帰り際、お会計をしながら親爺に、新蕎麦があるとは知りませんでした。また近々せいろうも食べに来ます。と云い、お互いにニコニコしながら分かれました。
でも月の頭に新蕎麦って随分早いよなぁ?インターネットで調べてみると、この時季の新蕎麦は主に北海道の蕎麦で夏新(なつしん)と呼ばれ、秋に出てくる新蕎麦は本州のもので秋新(あきしん)と呼ばれ、人気があり香りも強いのは秋新とのこと。なるほど。しかし今日は種物だったので蕎麦の香りがいずれにしろ堪能できなかった。有言実行。近々夜にでも舞い戻って、せいろうで冷酒など味わってみたいと思います。いずれにしろ季節がまた動き始めたようですね。