私はアルコール類はなべて好きですが、カクテルはほとんど飲みません。純米酒が一番好きですが、ワインとか、もしウィスキーを飲むならシングルモルトとか、シンプルな構成のものが好きなのです。大学生の頃に、田原町辺りに黒猫の住む小さなバーがあって、超ベテランのおじいさんが音も立てずにシェイクして作ってくれた(おじいさんによると氷は冷やすためにあるもので、薄めてはいけないので、音を立てないように静かに8の字に回すのが正しいのだと云ってました)ギムレットやホワイトレディーの味は忘れられない気がするのですが、それ以外はこれといった記憶も思い出もありません。
ところが、ひょんなキッカケで「美味しい!」と思うカクテルを飲むことが出来ました。作ってからちょっと時間が経っていたので、本来熱いべきものなのに随分冷めていましたし、味のバランスも本来のあるべき姿から外れていたのかも知れません。でも美味しかった。どんな飲み物にも食べ物にも、作り手の気持ちが入るものでしょうか。いや、それは恐らく違うでしょう。どんな飲み物も食べ物も、飲む者、食べる者の気持ちがその味を大きく左右するのでしょう。美味しい気持ちはいいことですね。