アメリカの空港で、かなり綿密な身体検査を受けました。例の体中何でも透けて見えるというヤツ。前にもしたことがありますが、両手を頭の上に組んで透視を受けました。検査官はトランシーバーでモニターを見ている検査官とやり取りをし、ベルト回りとその下に何かあるという話になり、私は隣に控えているかなり大型の検査官に触診のように直接調べられることになりました。まぁここまではたまにあることです。
大型さんは、触るよと云ってから、Gパンのウエストの内側に手を突っ込んできました。これは珍しい。更にポケットの中のモノを出せと。これはあることです。ドル紙幣とコインが数枚。あぁ。このコインが引っ掛かったのかと思ったところ、大型さんはおもむろに紙幣と一緒に持っていたお守りを取り上げました。私はいつも神社のお守りをポケットに入れているのです。
「何だこれは?」「神社のお守りです」と云うやりとりを始めるか否かと云う時に、大型さんはやおらお守りの口を結んでいる紐をほどいて、お守りの口を大きく開き、中を覗いて指を入れ、取り出そうとしました。な、な、なんと。私は説明する速度を上げ、口調を強くし、なんとかそこでくい止めました。そしてお守りだけX線透視を別に受けることに。いくらか時間が掛かり、ようやく検査は終わりました。
大型さんに対して、私は心の中で「このバチ当たり者め」と2、3回思いかけたのですが、完全に思う前に感情を止めました。寸止めのような感じ。こんなことで怒っても仕方ない。全てが終わってから近くのエレベーターでラウンジに上がる時に検査場を見下ろすと、大型さんを含めた検査チームの時間がまったりと流れているようでした。感情を寸止めしてヨカッタ。小さなことですが、今日はいいことがある気がしました