「短篇集 hi mi tsu ki chi ヒミツキチ」なるものを読みました。私の大好きな川上弘美さんが巻頭に小エッセイを書いている以外は、殆どが漫画です(全部ではありません)。

ヒミツキチ。大好きです。エッセイや写真や漫画を読んで、昔の頃を思い出しました。鉄条網を潜り抜け、或いは乗り越えて、球場のバックネット裏の空き地に入り、そこは草は茫々、コンクリートの大きな塊やブリキ板などが散乱し、様々なゴミや"持っていると都合の悪くなったもの"が投げ込まれたのか持ち込まれたのか、至る所にあるのでした。

そしてその空き地の真ん中辺りに、あれはドラム缶だったのかトタンを丸くトンネルのようにしたものか、ハッキリは憶えていないのですが、直径1メートル、長さ2メートルぐらいのパイプ状の空間がありました。こここそが、自らの身を隠したり、或いは投げ込まれた"持っていると都合の悪いもの"の中から"是非見たいもの、取っておきたいもの"を集めて隠しておくには、最高の場所なのでした。

私のヒミツキチをひとつ挙げろと云われれば、やはりあそこになるでしょうか。ヒミツキチにいると、たまに大人に見つかります。そうすると当然逃げる。普通逃げ切れるのですが、一度球場のグランド内に逃げざるを得ないことがあり、と云うかその方向に追い込まれ、グランドの中、お天道様の下に露わに曝された私は、御用となったのでした。

ヒミツキチはやっぱり秘密じゃないといけませんネ。