先日、と或る寿司屋にふらっと入りました。或る街で当てもなく食べる場所を探していて、聞いたことも見たこともなく、当てずっぽうで入った店です。しかし当てずっぽうとは云え、食べることとお酒を飲むことにはそれなりに年季の入っている私です。店の雰囲気と云うか佇まいから、ここはダメ、ここはイケそう、と云う私なりの評価と云うか勘があり、これが割と当たるのです。しかしそば屋なら格別、寿司屋で当てるのは至難の業のように思えます。

今回も暖簾の手前までの感じは良かったのですが、格子戸を開けた途端に「あ、これは外したかも知れない」と思ってしまいました。客なし。店の主人はまな板の上で大量の紙袋を整理している。なんじゃこりゃ?!お酒も店の中にガラス張りの冷蔵庫の中にあり、風情がありません。しかし銘柄を良く見ると、高価ではありませんがイケそうなお酒が。寒い日だったので今更店を変える気にもなれず、そこでゆっくりと食べ始めました。

これが旨い!野菜の類で作ってくれるおつまみも旨い。お魚も旨い。昆布〆などきちんと仕事した白身のお寿司。このコハダは身が淡泊だと云ってさりげなくエビおぼろを挟んでみたり。旨い!芝エビなどを適度に打ち込んだ玉子も旨い。とにかく何から何まで、超一流の味なのでした。雰囲気は相変わらず殺風景な街の無名の寿司屋。他に客は来る気配なし。むぅ。

こんなところに東京の食文化の奥深さを感じるのでした。お値段も手頃。新規開拓への挑戦は、やはり食好きの最大の挑戦であり喜びでしょうか。また探そうっと♪