先日、ピンク・フロイド・スピリッツと云う、フロイドの謂わばコピー・バンドによるコンサートに行きました。映像も使った良く出来たステージで、フロイドのお馴染みナンバーを全て、そして上手に、演奏してくれました。 コンサートのあと、居酒屋で一緒に行ったみんなとワイワイと音楽談義をしたのですが、それが脳の溝の埃を掻き出してくれたようで、昔よく聞いていた多くの音楽を思い出しました。主にジャズとロックです。

その日以来、本棚の奥に隠れているCDなどをゴソゴソと掘り出して、中学・高校・大学生の頃に聞いていた様々な音楽を貪るように聴いています。あの頃はレコードで聴いていたので、全く同じ盤ではなく、あとからCDで買い直したものですが、記憶の中は25年以上前の世界です。"貪る"と書くと時間をそれ用に費やしている様ですが、そうではなく、いつも聴き"ながら"書斎で仕事をしているのですが、面倒臭くてCDをあまり換えないところ、せっせと毎回換えているだけのことです。

驚くべきことに、実際に25年ぶりに聴くアルバムであっても、曲をよく憶えています。一曲が終わると、次の曲が始まる前にイントロが自然と頭に浮かびます。そしてそれがちゃんと合っています。脳はプラスティックなもの(可塑性のあるもの)、即ち一旦強い力が加わって形が変わると、そのまま元に戻らない性質であると云いますが、正に若い頃に心を動かされたものは、プラスティックに脳に型押しされていて、いつでも蘇ってくるものなのでしょう。
懐かしいアルバムを聴くこと。-それは昔の自分に出会うようで、優しく、楽しく、不思議な感覚がします。