金(ゴールド)の値段が好調です。世界中のあらゆる「値段」がパッとしない中、金も一旦は大きく下げたのですが、ほぼ元の高値まで戻っています(当社のホームページでも、投資情報→海外市場情報→米国市場、と進み、グラフの左上のプルダウンメニューで金(COMEX)と云うのを選べば、金の値段の推移が見られます)。6年前に300ドル台だったものが、去年の頭に1000ドルまで上がり、昨秋に一旦は700ドルまで落ちたものの、今また900ドル台まで値を戻しているのです。

どうしてでしょうか?行き場のない投機資金が向かっている? まさにその通りでしょう。しかしなぜ金に? 世界中の各投資家から見ると、自国の為替がどうなるか分からない、これだけ財政出動をしているといつか強烈なインフレが来るかも知れない、或いは最悪のケースでは将来に金融資産にも様々な税金が掛けられてくるかも知れない、等々の心配があり得て、それらを強く気にする投資家が、金におカネを向けているのでしょうか。確かに想定できる多くのケースに対して、対抗力のある資産保全の方法であるようにも思えます。
しかし、当然のことですが、大きな落とし穴もあるでしょう。我々が金本位制から離脱したのは、既にずっとずっと昔のことです。金の値段が高いのは、現代の経済・貨幣システムに対する信頼性低下の反射でしょうか。一旦買った金を売却して、売られすぎた一般的な金融資産が買われ始める時、即ち相対的に金の値段が弱含む時が、広い意味での「信頼(コンフィデンス)」の回復する兆しでしょうか。他にも色々と気になる「値段」がありますが、金の値段にも注意を払っていきたいと思います。