昨日は不思議な晩でした。

午後8時に仕事を終え、知人と食事に行くことに。「何処に行こうか」と思いあぐねたのですが、昔よく行った或る店の名前が何故か急に頭に引っ掛かり、そこに行くことにしました。
最後に行ったのは多分もう2年ほど前のことなので、未だ営業しているか不安だったのですが、電話をすると聞き覚えのある声が店名を答えます。「松本と云いますがこれから行けますか?」「はいどうぞ」と云う声の中に、こちらを認識しているかも知れないような響きがありました。
果たして店について扉を開けると、見慣れた顔が開口一番「御無沙汰しております」と云ってお辞儀をしました。前と全く変わらない静かな雰囲気の店内には、三人連れのお客様が一卓。

席に着いて出された懐かしいメニューを暫く見ていると、お店の人が云いました。「折角久し振りに来て頂いたのに大変申し訳ないのですが、実は今月一杯で閉店するのです。」なんと!20年以上も続いた店です。聞くと数週間前にいきなりオーナーから云われてアッと云う間に決まってしまったとのこと。残念なことです。

ここまでのやり取りをする間に、三人連れのお客様のうちの一人が、何やらお店の人と何度も話していました。お店の人は、何やら電話をしていたのですが、全てが静かに行われていたので大して気にしていませんでした。すると数分後、いきなり救急隊員が7名も入って来ました。最初は状況が掴めなかったのですが、三人のうちの他の一人が、微妙に気を失っていたのでした。結局、その人は救急車に運ばれていきました。

閉めると分かっている店に行ったことはありますが、店に行ったらもう閉めますと云われたのも初めて。救急車が店にやって来たのも初めてです。この店は永年多くの人に愛されてきた店でした。思うに、突然の閉店を云い渡された店は、見えない力で私や、終いには救急隊員まで呼び寄せたのではないでしょうか?情念と念力のある店。中々出会えない店です。何とかなくさない訳にはいかないでしょうかね。