金融安定化法案が否決され、アメリカ株式市場は暴落しました。ダウ平均が777ドル安。一日の動きとして、史上最大の下げ幅です。しかしこれ、本当に史上最大の下げでしょうか?
下げ「幅」は史上最大ですが、下げ「率」では7%程度で、911のテロの時の下げ率よりもやや小さく、1987年の所謂ブラック・マンデーの時の下げ率の3分の1にも満ちません。数字の絶対的な大きさなんていくらでも変えることが可能ですから(単位を変えたり、云々)、大切なのは下げ幅ではなく下げ率であることは明らかです。
私も朝にはうっかり「史上最大の下げ幅!」に乗せられてしまいましたが、こう云う誇大広告と云うか煽りには注意が必要です。
法案の否決自体についても同様です。提出された金融安定化法案は全く支持が得られず、修正法案も通るのだろうか、と云うような論調もありますが、実際の決の内容は、反対228、賛成205でかなりの僅差です。
恐らく大統領選前でもあるので、有権者の視線を意識したスタンドプレーもあったのではないでしょうか。「法案はいずれにしろ通るだろう。であれば納税者負担を増やすのはケシカランと云うポーズを自分は取っておいた方が今後の選挙で得だろう。」そう考えて敢えて反対票を入れた議員が12人以上いたとすると、不本意ながらに法案は否決されたことになります。そう考えると、修正法案は恐らく可決されるのではないでしょうか。
本当の差はどこにあるのか。こう云うパニック状態であるからこそ、冷静に見ていく必要があると思います。