小林一茶の素敵な俳句を教えてもらいました。

『青梅に手をかけて寝る蛙かな』-なんともほのぼのとした、いい句です。
青梅は枝から地面に落ちたものなのか、未だ木に付いているものなのか。手の掛け方は腕枕のような形なのか、掌を置いているだけのものなのか。両手なのか、片手なのか。蛙は大きいのか、小さいのか。蛙は緑色なのか、茶色なのか。まぁそんなことはどうでもよろしい。人それぞれのイメージでいいと思います。

但し、雨だけは降っていないといけない。或いは水の雫だけはなければいけない。

青梅と蛙の季語を合わせるために、蛙は「かわず」であると云う考え方が有力なようですが、かわずだと茶色になってしまいます。私が感じるイメージは、全体に緑色で、それもマスカットのような色で、雫の溢れた葉っぱの上に青梅があり、そこに青梅よりもちょっと小さい位のアマガエルが、片手だけ手を掛けていて、そのままだらしなく居眠りしている。そんな小さな15センチ四方くらいの風景です。

静かで、水気の多い、穏やかな空間と時間。梅雨はジメジメして気分のいいものではありません。しかしこの蛙は、本当に気持ち良さそうです。どんな状態も、自分の立ち位置を変えたり、見方を変えるだけで、風景は全く変わるものです。いつでも蛙になれる感性を持つことが、大切なのでしょうね。