2024年12月11日(水)8:50発表
日本 法人企業景気予測調査2024年10-12月期
【1】結果:大企業景況判断指数は0.6ポイント上昇 先行き見通しは緩やかに低下
2024年10-12月期の法人企業景気調査では、大企業・中堅企業・中小企業、業態規模問わず、全産業の指数(以下、BSI)において前四半期から景況感の改善が示されました。
大企業を見ると、製造業が1.8ポイント改善する一方で、非製造は前四半期から変わらず横ばいとなっており、製造業の改善がプラスに寄与しました。中堅企業は1.4ポイント、中小企業は個社の景況感が下降と回答する企業割合が低下してことにより、3ポイントほど改善するも依然としてマイナス(下降と答える企業が多い)で推移しています(図表1)。
先行きの見通しは、大企業・中堅企業ともに緩やかに景況感の低下が示されました。一方で、中小企業は翌四半期である2025年1-3月期は低下するも、4-6月期には改善の見通しとなり、基調は漸次的ながらもプラス圏に向けて推移している様子がうかがえます(図表2)。
【2】内容・注目点:先行きの製造業は中堅・中小が押し上げか、非製造業はまちまち
製造業・非製造業別でBSIを見ると、大企業の先行きは製造業・非製造業ともに今回12月の発表内容から低下していくことが見受けられます。製造業は輸出関連の業種が多く、2025年から指揮を執るトランプ次期大統領の関税政策といった不確実性が見通しを切り下げたものと考えられます。非製造業においては、宿泊や娯楽業の見通しが低下基調であり、このところピークアウト傾向のあるインバウンド需要の低下等が起因しているものと考えられます。
一方で、中堅・中小の製造業は4-6月期にかけて業務用機械や輸送機械の見通しがポジティブであり、全産業において大きく上昇が見込まれています。中堅・中小の非製造業見通しはまちまちで、特に中小企業においては業種問わずネガティブ、保守的な見通しの傾向がうかがえます。
【3】所感:12月期は想定よりも下振れ業種が多い
今回12月期の景況判断BSIを総合すると前四半期からは小幅に改善も、見通しはネガティブといった印象です。業種別に前回9月発表時の景況判断BSIと今回12月分を比較すると、製造業・非製造業ともに過半数が、9月期の想定よりも悪化したことがわかります(図表4-1、4-2)。
実際には大企業は製造業・非製造業ともにプラス圏で推移しており、景況感が悪いわけではないものの想定よりも下振れた第3四半期であることが推察されます。2025年1-3月期はまちまちですが、過半数は保守的な見通しを示しています。
一方で、前回よりも見通しを切り上げた業種も見られました。製造業では石油・石炭製品や非鉄金属、鉄鋼といった商品関連、非製造業では農林水産業や情報通信業においては、現時点で第4四半期はポジティブであることが推察され、これらの業種によって今期の業績や景況感の底上げが期待されます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太