先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数ですが週の前半は堅調な地合だったのですが、週の半ばから失速しました。週初の21日(月)は続伸からのスタート。中国が米国製品の「購入を大幅に増やすこと」で合意したとする共同声明を、中国と米国が19日(土)に発表したことで米中の貿易摩擦への懸念が後退し、およそ1ヶ月半ぶりに3,200ポイントを回復しました。22日(火)は途中まではマイナス圏の推移だったのですが、中興通訊(ZTE)問題の解決で米中が大筋合意との報道があって小型株が上昇し、それに遅れる形で上海総合指数も上昇し小幅続伸となりました。

ところが23日(水)は大幅反落。トランプ大統領が中国と貿易に関して合意したわけではないと述べたことが市場心理を悪化させました。また、原油価格の下落から石油株も軟調となり、中国当局が石炭価格の統制を強化しているとの報道で石炭セクターが大幅安となりました。24日(木)と25日(金)も特に大きな材料がない中、米中の貿易摩擦懸念が市場心理に影を落とし、サウジアラビアやロシアなど主要産油国が生産制限の緩和を示唆したことから原油価格が急落したことで石油株が下落して相場を引き下げて続落となりました。結局、上海総合指数は前週末比-1.6%の3,141.303ポイントで引けています。

一方、香港市場は22日(火)が仏誕節の休場で4営業日の取引となりました。香港ハンセン指数ですが、週初の21日(月)は米中貿易摩擦懸念への後退から輸出関連が買われて続伸となったのですが、祝日明けの23日(水)は前述のトランプ発言が嫌気されて反落。24日(木)は前夜の米国FOMC議事録で追加利上げを急がないことが示唆されたために、利上げベースの加速懸念が後退して小反発となったものの、25日(金)には米中の貿易摩擦への懸念と原油価格の急落が重しとなって反落となりました。結果として香港ハンセン指数は前週末比-1.5%の30,588.04ポイントで引けています。

トランプ発言と原油価格の急落の影響で続落となった香港ハンセン指数ですが、大きく売り込まれている訳ではなく、依然として200日移動平均は上向いており、株価は200日移動平均線よりも上方に位置しています。米中の貿易摩擦問題はもう少し長引きそうではあるものの、輸入量が小さい中国がどこかで譲歩しなくてはなりませんし、米国も本格的な貿易戦争に突入するようなら経済的に損失となってしまいますので、解決するのは時間の問題と思います。なお、27日(日)には4月の中国工業企業の利益が前年同月比21.9%増と発表されています(3月実績は3.1%増)。これで1-4月の累計では15.0%増となるわけですが、中国企業のファンダメンタルは堅調であると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)