アメリカの大統領予備選、民主党は週末にネバダ州で党員集会を開き、ヒラリー・クリントン候補がオバマ候補を僅差ながらかわして勝ちました。オバマは初戦のアイオワではかなりの差をつけて勝った訳ですが、その後のニュー・ハンプシャー、ネバダと連敗しました。

「変化」をキー・ワードに立ち上がった、黒人で初めて大統領の座に近付いた彼も、中々の苦戦を強いられているようです。そもそものアイオワの予備選が、実力を反映していたかどうかは不明です。初戦であるからこそ、かつアイオワは挙手で投票する方式ですから、オバマ陣営は入念な準備をして若者中心の動員に成功し、しかしその後はそのような時間を掛けた準備が追いつかないという見方も出来ます。或いは最近のアメリカの金融市場、更には経済の混乱が、有権者に思想やイメージや若さよりも、もっと現実的な経済対策を期待させることになり、それがヒラリーの支持を後押ししているのかも知れません。何故なら彼女の夫であるビル・クリントン前大統領は、民主党の大統領としては傑出した金融・経済への理解を示し、結果としても良好なアメリカ経済を実現したので、その記憶が、ヒラリーの安心感に繋がっているのではないでしょうか。

しかし私は思うのですが、アメリカの大統領選は、共和党対民主党と云う、二大政党による政策のぶつけ合いが、意味のある選択肢を有権者に提供してきた訳ですが、最近の雰囲気では共和党はサッパリで、民主党の中だけでの候補争いになっているところが、果たして望ましいことなのかと心配になります。色々と差こそあれ、二人とも民主党の候補ですから、勢い、より多数の国民に迎合する政策を云いがちです。その二人の戦いですから、迎合度がエスカレートしないでしょうか?あまりにポピュリズム的な公約を抱えて大統領になると、恐らくアメリカの経済・資本市場にとってはいいことではないでしょう。そしてそれは巡り巡って日本にいる私たちにも悪い影響をもたらす恐れがあります。
人の心配する前に先ずは自分の国を心配しなければいけません。我が国もねじれ国会の前で、勢い迎合的な動きを政治家はしがちです。牽制やバランスは様々な場面でとても重要です。そして牽制が働かない時は、自ら律する他に手はありません。彼の国も我が国も、有権者やマスコミの自律が問われているのではないでしょうか。