先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数は週を通して強い動きとなっており、10月27日(金)には6連騰を達成しています。もっとも急激な上昇というよりは緩やかな上昇が続いているイメージです。背景には7-9月期の企業業績が発表されていく中で堅調な業績発表が多いことがあります。27日(金)の朝方に発表された9月の工業企業の利益は前年同月比27.7%増と8月の24.0%増から加速しており、今後の企業業績への見通しも明るいものとなっています。

その他、24日(火)に共産党大会が無事に終了し、その後も株価が堅調に推移していることも市場心理を明るくしています。というのも、過去には共産党大会終了後に株価が下落する傾向があったためです。結局、上海総合指数は前週末比で1.1%高の3,416.813ポイントで引けており、年初来高値を更新しています。なお、今週は10月31日(火)に10月の中国公式製造業景況感指数<市場平均予想52.1、9月実績52.4>と11月1日(水)に10月のCaixin中国業景況感指数<市場平均予想51.0、9月実績51.0>が発表される予定です。株価は年初来高値を更新している状況ですから、予想以上の数字が出てくれば株価の大幅上昇が期待できるかもしれません。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらは週初から軟調なスタートでした。米上院は、向こう10年にわたる最大1兆5,000億ドルの減税計画を容認する予算決議案を承認。これによって共和党だけで税制改革を進められる見込みとなったことから米国の長期金利が上昇。この結果、新興国から資金が米国に流出するのではないかとの懸念が広がりました。もっとも、共産党大会終了後も中国本土株が堅調に推移したことや、中国本土企業の堅調な企業業績、堅調な米国株の株価推移が株価を支え、下落幅は限定的でした。結局、香港ハンセン指数は前週末比0.2%安の28,438.85ポイントで引けています。

今週は軟調となった香港株ですが、依然として上昇トレンドは続いています。先進国への資金還流懸念も、いわゆるセクターローテーションのようなもので、一巡の調整後、再び年初来高値を更新していくような株価推移になると予想します。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)