先週の中国株ですが、上海総合指数と創業板指数は小幅続落、深セン総合指数と香港ハンセン指数は小幅続伸となりました。小幅続落となった上海総合指数ですが、引き続き、一進一退で高値圏でのもみ合いが続いている印象です。18日(月)は先々週に発表された8月の中国の経済指標が予想よりも弱かったことを引きずり小安く寄り付きましたが、新エネルギー関連、半導体関連などの政策恩恵期待銘柄が上昇し、指数上昇を牽引しました。また、先物の証拠金と手数料が引き下げられたことから証券株が高くなりました。19日(火)は特に材料は出ていないのですが小反落。

20日(水)はマイナス圏からのスタートとなったものの、その後は回復して小反発。金属価格の上昇から商品株が買われた他、中国政府が自由貿易試験区で新エネルギー車分野に関して外資の出資規制を撤廃するとの報道からBYDなどが大幅高となり、株価上昇を牽引しました。続く21日(木)はプラス圏とマイナス圏を行き来する方向感の無い展開でしたが小反落。22日(金)はS&Pが中国の長期国債格付けを「AA-」から「A+」に引き下げたことが嫌気されて小幅続落となりました。このように、まさに一進一退を続けた上海総合指数は、結局、前週末とほとんど変わらず(1.09ポイント安)の3,352.529ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数は週初に大きく上昇したのですが、最終日に大きく下落した格好です。週初の18日(月)は欧米の株式市場の好調な流れを受けて、テンセントが上場来高値を更新する等、大型株が買われ株価上昇を牽引して年初来高値を更新。続く19日(火)もザラ場には年初来高値を更新したものの、米国の連邦準備制度理事会(FRB)による政策発表を翌日に控え、様子見基調から利食い売りも入り、小反落に。その後も横ばい基調の株価推移が続きましたが、22日(金)は前述のS&Pの中国の長期国債格付けの引き下げや米国の長期金利上昇を背景とした新興国から先進国への資金流出懸念、北朝鮮が太平洋上で水爆実験を検討しているとの報道などが市場心理を悪化させて下落し、結局、香港ハンセン指数は前週末比で0.3%高の27,880.53ポイントで引けています。

高値圏での停滞が続く中国株ですが、現在起こっていることはセクターローテーションのようなものだと考えます。つまり、少し前に停滞気味の株価推移が続いていた先進国の株価が現在は上昇し、ここまで好調だった新興国の株価が停滞気味となり、次の上昇への足をためているところと思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)