先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は小幅に反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となりました。小反落となった上海総合指数ですが、週を通して高値圏でもみ合いが続いた印象です。週前半は10月18日開催予定の共産党大会に向けて市場安定化策が図られるとの見方が強まったことや、銅価格が中国需要への期待感から3年振りの高値を更新するなどして資源株が上昇したこと、8月のCaixin中国サービス業景況感指数が52.7と3ヶ月ぶりに上昇に転じたことなどが好感されて堅調な地合いが続き、年初来高値を小幅に更新しました。

しかし、7日(木)に株価は下落し、8日(金)も軟調な株価推移となりました。特に大きな材料が出たわけではないのですが、高値圏での利食い売りに押された印象です。それでも共産党大会に向けて市場安定化策が図られるとの期待感が根強く、下落幅は限定的でした。結局、上海総合指数は前週末比でほぼ変わらず(1.9ポイント安)の3,365.243ポイントで引けています。なお、8日(金)に発表された中国の8月の貿易統計は輸出(米ドル、前年比)が+5.5%と予想の+6.0%を下回りましたが、輸入が+13.3%と予想の+10.0%を上回る伸びとなりました。また、9日(土)に発表された8月の消費者物価指数は+1.8%と予想の+1.6%を上回り、生産者物価指数も+6.3%と予想の+5.7%を上回りました。全般的に中国の内需が堅調であることを示唆する経済指標が出ています。

一方、香港ハンセン指数は週を通して軟調な株価推移が続いた印象です。北朝鮮の核実験実施により米朝間の緊張が高まったことや欧米の株式市場が軟調に推移したこと、欧州中央銀行(ECB)のテーパリングへの決定がなされるのではないかとの警戒感が広がったこと、決算期待から買われていた本土銀行株が反落したことなどが軟調だった要因です。ただし、対米ドルベースで人民元が上昇していることや米ドル安に伴う新興国への資金流入期待に支えられて下落幅は限定的でした。香港ハンセン指数も前週末比で1.01%安とほとんど変わらずの27,668.47ポイントで引けています。

強い基調が続いている中国株です。今週は14日(木)に中国の8月の小売売上高<市場平均予想+10.5%、7月実績+10.4%>と鉱工業生産<市場平均予想+6.6%、7月実績+6.4%>が発表される予定です。予想を超える数字が発表されれば、中国株は一段高が期待できると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)