先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数は続落、創業板指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初の8月7日(月)は反発からのスタート。河北省政府が環境対策のため、冬季の鉄鋼生産量を50%削減すると発表したことから鉄鋼株が大きく上昇し、株価上昇を牽引しました。金属価格が全般的に強い基調で推移していたことから、非鉄金属株も強い基調となりました。そして8日(火)も小幅続伸。7月の中国の輸出(米ドルベース、前年同月比)が7.2%増と、予想の11.0%増や6月実績の11.3%増を大きく下回ったことが市場心理を悪化させたものの、世界的な株価上昇傾向に加え、秋の共産党大会に向けて中国当局が株価上昇を下支えするとの思惑が株価を押し上げた印象です。

しかし、8月9日(水)は中国の7月の消費者物価指数が1.4%増と市場予想や6月実績の1.5%増を下回ったこと、同じく7月の生産者物価指数が5.5%増と6月実績とは同じだったものの予想の5.6%増をわずかに下回ったことなどが、前述の輸出の弱さと共に不安視されて小反落。さらに10日(木)と11日(金)は北朝鮮の地政学リスクが中国本土でも意識されて大幅続落。上海総合指数は一時、50日移動平均線まで調整し、前週末比で1.6%安の3208.542ポイントで引けています。

香港ハンセン指数も同じような動きでした。週の前半は米国株の強い株価推移の流れを受け継いで上昇していたのですが、週後半は北朝鮮の地政学リスクが意識されて急落となっています。特に香港ハンセン指数は2年2ヶ月振りの高値を更新したところでしたので、利食い売り圧力を受けやすい地合であったこともあります。結局、前週末比で2.5%安の26883.51ポイントで引けています。ただ、株価位置は50日移動平均線よりかなり上にあり、株価の上昇トレンドは崩れていないと思います。

今週は機関投資家の夏季休暇が取られやすい時期である中で、北朝鮮問題が引き続き懸念されるところと思います。もっとも、北朝鮮は暗に自分たちからは攻撃しないことを伝えているため、実際に緊張が高まっているわけではないと思います。相場が不安定になりやすい時期であることもあって、更なる悪材料が出て、もう一段株価が下落する可能性は残りますが、チャートを見ても、トレンドが変わるほどには株価は下落しておらず、ほどなく株価は反発基調に戻れるのでないかと予想しています。

コラム執筆:戸松信博

(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)