先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数は続落となりました。週間では続伸となった上海総合指数ですが、週初の17日(月)は大幅反落からのスタートに。これは中国政府の指導部が債務と投機の取り締まりを優先する考えを示したことによるものです。中国政府が引き続き将来のリスク低減のため、レバレッジの解消に向けた取り組みを継続するとみられたため、特に、中小型株が集まっている深セン総合指数と創業板指数が大きく売り込まれました。しかし、この急落を受けて、中国人民銀行(中央銀行)が純額で1,400億元を金融システムに供給したことから株価は引けにかけて戻しています。

18日(火)も寄り付きは続落水準で始まったのですが、引けにかけて買われて小反発となり、19日(水)も安く寄り付いたのですが、引けにかけて買われ、20日(木)も続伸となって上海総合指数は結局、約3ヶ月ぶりの高値となりました。株価が急反発となった背景には中国人民銀行が市場を落ち着かせるために資金を供給し続けたことがあります。この資金供給によってレバレッジ解消への引き締め懸念が後退しました。21日(金)は3日続伸となった後だけに利食い売りも出て、小反落となりましたが、下落幅は小幅で、結局、上海総合指数は前週末比0.5%高の3,237.982ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数は欧米市場の堅調な株価推移の流れを受け継ぎ、週を通して堅調な株価推移が続きました。特に米国のナスダック総合指数が10連騰となったことから、香港の代表的なIT株であるテンセント(00700)が力強い株価推移となり、相場を牽引しました。結局、香港ハンセン指数は21日(金)に小反落となったものの、20日(木)まで9日続伸となっています。香港株が強かったことのもう1つの背景には、イエレンFRB議長の発言からドルの金利先高感が後退し、ドルインデックスの下落が続き、新興国に資金が流入しやすい地合となったことがあります。結局、香港ハンセン指数は前週末比1.2%高の26,706.09ポイントで引けています。

先週発表された中国の経済指標ですが、6月の小売売上が+11.0%<市場平均予想+10.6%、5月実績+10.7%>、鉱工業生産が+7.6%<市場平均予想+6.5%、5月実績+6.5%>と発表されました。予想以上の結果と言えるのですが、株価への影響は限定的でした。しかしながら、ここのところの中国の経済指標は堅調であり、本土株を下支えする材料に成りうると思います。一方で、欧米の株式市場の堅調さが継続し、ドルインデックスの下落傾向が続くのであれば、香港株も引き続き堅調な推移が期待できると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)