先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となりました。上海総合指数は、週初から金融業界の管理監督の強化が懸念されて銀行株が売られ、軟調な推移に。13日(火)は李克強首相が、2017年の中国のGDP成長率について6.5%前後という目標を達成する自信がある、と示唆したことが市場心理を改善して反発しましたが、14日(水)は保険大手の安邦保険集団のCEOが、当局に事情徴収のために連行されたとの報道から、再び金融機関に対する規制強化が懸念され金融株を中心に軟調な展開となり、反落。
15日(木)も、銀行監督当局幹部が重大な規律違反で解任されたとの報道から、金融機関への管理監督が強化されるのではないかとの懸念が強まり、一時的に大きく下落(ただし、その後に戻して終値は小反発)。16日(金)は、中国人民銀が1月中旬以来最大となる2,500億元の資金供給を行ったにもかかわらず、引き続き、金融機関への管理監督強化への懸念から反落。結局、上海総合指数は前週末比で1.1%安の3,123.166ポイントで引けています。金融機関への管理監督強化懸念が相場の重しとなった一週間でした。
一方、香港ハンセン指数も軟調な展開に。先々週末に米国でIT関連銘柄が急落したことから、テンセント(00700)などのIT関連銘柄に売りが膨らみ、週初は大幅続落からのスタート。その後もIT関連銘柄が軟調に推移した他、米国に追随して香港でも0.25bpsの利上げが行われたことから、香港地場の不動産株が軟調な動きになるなどして、結局、香港ハンセン指数は前週末比1.6%安の25,626.49ポイントで引けています。
なお、先週発表された中国の経済指標は5月の小売売上高が前年同月比10.7%増<市場平均予想10.7%増、4月実績10.7%増>、鉱工業生産が6.5%増<市場平均予6.4%増、4月実績6.5%増>、マネーサプライ(M2)が9.6%増<市場平均予10.4%増、4月実績10.5%増>となっています。マネーサプライの伸びが低水準に留まったことも市場心理の重しとなっています。今週はMSCIによる、中国本土A株の新興国株指数への採用検討の結果発表が20日(火)に予定されており、期待感から株価には好影響が出やすい一方で、結果が悪かった場合には思わぬ下落につながる可能性もあるので注意が必要です。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)