J社株の誤発注事件の顛末に対する市場の反応は、多くの示唆に富んでいます。そしてそれは、私のモノの見方に対して、或る一定の反省を促しています。週末の間に、問題はみずほ証券一社の問題ではなく、東証のシステムにも不具合があったということが明らかになり、事態はその規模感と不透明さが大きく拡大したように思えました。少なくとも当業界の人間は、そう感じた人が多かったのではないでしょうか。

しかし蓋を開けてみると、市場はまたしても30億株、3兆円以上の出来高で、日経平均は334円も上げました。私の心配は、少なくとも本日に関しては、文字通り杞憂に終わりました。落ち着いて考えてみれば、1つの誤発注と、取引所のITシステムのプログラム上の不具合が、我が国全体の経済や企業価値に大きな影響を与える由もありません。しかし私にはそうは思えませんでした。未だコトの顛末の行方は明かではなく、早急な結論は危険です。

しかし最初の直感が市場の向きとずれていたことに、元トレーダーの身としては若干のショックを感じると共に、モノの見方が業界人として偏ってしまっていたことに反省をしています。

『嵐は何処にあるのか』
      −何事も芯を見間違えないことが肝要です。