今日の株式市場は、新規上場したJ社の株式に対する誤発注によって大波乱となりました。既に色々と報道されていますが、「1株を61万円で売却」という注文を入れるべきところを、「61万株を1円で売却」と間違えて入力した為にJ社株式が乱高下し、それが特定の会社の大きな損に繋がると考えられ、更には市場全体への不安感と繋がって、市場は大幅安となりました。

今回の事故は、我が国資本市場にとって潜在的に大問題である可能性があり、一方でこの問題は極めて複雑な問題なので、今日は詳しい言及は控えたいと思います。しかしひとつだけコメントしておきたいと思います。事故が起きたのは午前9時半。事故のあと、午前中は証券株は大きく売られ始めましたが、インデックス(市場全体)はさほど売られていませんでした(日経平均の前場の引けは、前日比80円安です)。それが後場になって、全面安となった訳です(日経平均の大引けは、前日比300円安)。勿論これは事故だけの影響だけでなく、その他の要因もあったでしょう。しかし、状況が分からない中で、不安が膨らんで売り幅を拡げていったと思われ、一方その中で、情報には大きな格差が発生したものと思われます。

今回の件に関して今後議論される多くのテーマの中で、この「情報開示・情報流通」の論点が、もっとも重要な点ではないかと個人的には感じています。