黄金株とは、特定の株主に株主総会に於ける拒否権を与える特別な株のことです。「東証は上場企業が黄金株の導入をすることを原則禁止とする方針を固めた」との報道が18日になされました。私はこれは当然の考え方だと思います。しかし本日、与謝野金融相は、「会社法で認められていることを東証の上場基準で否定するということは理屈の問題としてはあり得ない」と発言されました。

私はこれはおかしいと思います。株式会社は全て上場しなければいけない訳ではありません。それは企業の選択であり、またどの企業を上場させるか、即ち「東証」という謂わばお店の店頭に、どの商品を並べるかは、一義的に東証の判断だと思います。しかしこの部分については、東証は公器であり、その監督官庁である金融庁に最終的な判断権限があるという考え方も確かにあるでしょう。仮にそうだとしても、やはり今日の大臣の発言には疑問があります。
アメリカに於いては、証券取引法は連邦法であり、会社法は州法です。各州の政策や、様々な規模や目的を持った会社がある中で、会社を設立する法律には幅広いヴァリエーションがあります。しかしひとたび上場すると、その株式は広く一般投資家の売買の対象となります。従ってその株式についてのルールを決める証券取引法は、州法に勝る連邦法として制定されている訳です。即ち、証券取引法の方が幅が狭いのです。会社法が認めていること全てを上場企業に認めるべきだとの論議は、私には逆立ちしているように見えます。上場企業はもちろん会社法の要請を全て満たさなければいけませんが、逆は真ではないのではないでしょうか。私は法律の専門家ではないのですが、マーケットに長く居た立場から、大臣のこの見解には異議があります。今後の様子を見守りたいと思います。

追伸:本日、月次収益情報を開示致しました。これはより良いIRを目指して、未監査ですが、前月の営業収益と純営業収益を速報ベースで開示するものです。画期的な情報開示だと自負しているのですが、詳しくはMBHホームページで御確認下さい。今後とも更にベターなIRに取り組んで参ります。