郵政民営化法案は参議院を通過するでしょうか。法案が通れば、いずれは郵政だけでなく公務員全体のリストラが進み、我が国の構造改革は大きく前進するでしょう。右肩上がり経済の時は、全体幸福を実現する社会主義が実践可能で、即ち公務員の数も増やし続けられます。しかし右肩上がりが終わった今、人材の再配置は必須のことのように私には思えます。もしそれができないならば、少子高齢化を強い政治意志を持って停止させ、右肩上がり経済を復活させるしかありません(しかしそれは平均寿命の伸びを止めることを意味しています)。
郵政民営化に反対するひとつの典型的パターンを考えてみましょう。地方の過疎地にいるおばあちゃんは年金を受け取る為に郵便局が必要だと言います。そしてその年金を何に使うかというと、ほぼ全額を東京に住む子供や孫に送っています。その送金の為に郵便局が必要なので、郵政民営化には反対だと言います。・・・この構図を維持する為には、年金支給と郵便局を維持しなければなりませんが、その結果財政は破綻し、多くの優秀な人材が郵便局に吸い上げられ、国の競争力は低下し、おばあちゃんの子供や孫には厖大な借金が背負わされていくこととなります。そしておばあちゃんはその借金返済の為に更に送金をし・・・・・。これでは古典落語のようです。
こういった自己悪循環に入ってしまった仕組みを解いて再構築していくのが構造改革です。しかし法案は参議院を通らないかも知れません。すると小泉首相は衆議院を解散するでしょう。そうやって、一旦今あるものを破壊して民意を聞くというのは、小泉首相らしい乱暴なやり方ですが、或る意味では正しいプロセスかも知れません。しかしいずれにしろ、賛成・反対の論点、本音が、もっと克明に説明される必要があります。報道は政局ばかりですが、本当は何で反対するのか、或いは何故賛成するのか、本音の部分をもっと国民に明らかにして欲しいと思います。