都が来春に開設を企図している新大学「首都大学東京」については、あまり詳しく追いかけていなかったのですが、今朝の朝日新聞の記事を読んでビックリしました。新大学構想に異論が強い都立大に対して、「批判を繰り返す教員は新大学に参加すべきでない」「改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協はありえない」「公に改革に批判を繰り返す人たちには建設的な議論が出来る保障がない」などと書いた最後通告を送ったというのです。どの程度の反対運動で、どのような手法で批判がされているのかを私は知りません。本件について、ほとんど背景を知らずにコメントするのは大変危険だと承知した上で、それでもやはり思ってしまうのは、最近の東京都、と云うか石原知事の考え方とやり方に対する不安です。大学は知恵や知識を集約し、伝達する場所です。そして正しい知恵を探求するためには、仮にそれが非効率的な場面があっても、「批判」は極めて重要なプロセスです。批判を塞げば、それはファシズム的な動きに繋がりかねません。繰り返しますが、背景も実態も知らないので、私のコメントは全く的外れかも知れません。教員側に大きな問題があるのかも知れません。しかし「批判」しかも「公の批判」を塞ぐことだけは、特に権力を持つ者としては、決してやってはいけないものだと私は思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。