株式市場は年末に向けて静かになってきましたが、ネット証券の普及に依ると思われる、いくつかの興味深い現象があります。
一つはあしぎんFG。相変わらず連日大商いで、堂々10円台の株価も付いています。これなぞは、嘗ての証券会社の店頭や電話であれば、営業の人に何か言われないか気になって、こんなに盛況にならなかったのではないでしょうか。これも立派な流動性の供給であり、また企業価値を探す機能であり、私は肯定的に見ています。
年末の休みに入りつつあるにも関わらず、売買高、特に個人の売買高がまぁまぁ維持しているのも、ネット証券の普及に依る部分があるのではないでしょうか。
今年はお盆休みには前場よりも後場の方が売買高が多かったことなどがてきめんな例ですが、既に休みに入って自宅にいる個人投資家がPCに向かって取引しているのでしょう。或いはちょっと暇になったオフィスの中や、年末の挨拶に回る途中に携帯から取引しているのかも知れません。小さなことですが、こんなところからもマーケットは変わりつつあるのでしょう。来年ももっと新しい変化が起きるといいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。