かつてシカゴにあったトレーディング・ハウス、オコナーの話は随分前につぶやきで書いたことがあります。オプション理論の生みの親、フィッシャー・ブラックから聞いた話なのですが、オコナーでは毎日、一日の終わりにトレーダーのポジションを全て会社が召し上げていました。トレーダーは毎朝会社に来ると、一切のポジションがなく、自分がその前の日に下した判断に一切囚われることなくトレーディングが出来た訳です。大きなマーケットの中で、いちトレーダーの昨日の判断や、持ち値などに意味がある筈がありません。頭では分かっていても、やはり人は自らの過去の判断にこだわってしまいます。しかしこれは何もトレーディングだけのことではないでしょう。政治家も然り。過去の判断には責任を持たなくてはいけませんが、そのことと過去の判断に拘束されることとは違うと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。