市場は大荒れです。新しい金融相と不良債権処理プロジェクトチームの人選が原因でしょう。今までの永田町・霞ヶ関の常識とは違う考え方を持った人が含まれているからです。問題はこの嵐のあとに何が見えてくるかです。いや、正しくは嵐が本当に起きるのか、その嵐の直後に何が残るのか、そしてその結果として将来に何が見えてくるのか、の三点です。
しかしここで一つ覚えておくべきことがあると思います。キリンの首は徐々に伸びた訳ではありません。首の長い異種が突然現れて、その異種が既存種を淘汰したのです。生物の進化の歴史は常に同様です。違う言い方をすると、異種の登場しない種、ジャンプしない種は、必ず滅亡します。異種が常に勝ち残る訳ではありませんが、異種の発生しない種はいずれ他の種に滅ぼされてしまう訳です。この嵐が正しい異種であることを望みます。そして先日の台風のように猛スピードで蛇行しないで直進してくれることを願います。そうであれば、戦後もっとも強いと言われた台風も、さして苦ではありませんでしたから。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。