かつてフュージョンが一世を風靡した頃、或いはその夜明け前の頃にクルセイダーズという人気グループがありました。そのキーボードを弾いていたのがジョー・サンプルです。先週来日していたので例によって夜遅くに聴きに行きました。上手なジャズ・プレイヤーはよくいますが、歌心のあるプレイヤーはなかなかいないものです。自ら弾くメロディー・ラインが美しいだけでなく、グループ・メンバーの選び方にもセンスは出ます。おしゃれなドラム、味のあるボーカル。フュージョンというか、新しいタイプのピアニストとして認知されている彼ですが、もし50年代にプレイしていたらきっとパーカーなどと一緒にうたいまくっていたことでしょう。とても「おいしい」ステージでしたが、一つだけ気になったのはピアニストには珍しく腕時計をしたまま弾いていたことです。やはりいいプレイヤーはどこか変人なのでしょうか。