ビジネスの世界では「囲い込み」という概念がよく語られますが、究極の囲い込みはカジノだと思います。アメリカではカジノは基本的に砂漠の真中や、周りに何もないような所にあります。ラスベガス然り、アトランティック・シティー然り。そしてカジノの中にはエンターテイメントやショッピング・モール、高級品店などがあり、備え付けのホテルに泊まるのが基本コースになっています。要はお金を使いやすいような設定になっている訳です。お金を使うのは本人とは限りませんから、お父さんに付いて来た家族が散財できそうな仕掛けでも構いません。しかし一歩外に出ると何もない。そうすると仮に賭けで勝っても、その勝ち金の多くがカジノや少なくともその街の中で費やされることになります。一方ロンドンのカジノは街なかにあり、勝つとすぐに「じゃあ一杯行くか」ということになってしまうので、ロンドンのカジノはあまり儲かっているように見えませんが、アメリカのカジノは大儲けといった感じです。中々考えられていますね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。