先週(9月28日週)の振り返り=一時158円台まで円安に戻る

トランプ「円安懸念」発言を受けた円高も156円台で一巡

日米首脳会談でのトランプ米大統領による円安懸念発言などをきっかけに反落した流れを引き継ぎ、先週(9月28日週)の米ドル/円は一時156円台まで下落しました。ただ米長期金利上昇などが米ドル買い材料とされると、その後は158円台まで米ドル高・円安に戻る場面も見られました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年7月~)
出所:マネックストレーダーFX

米長期金利の上昇には、原油価格の高止まりなどによるインフレ懸念や米財政赤字への懸念とともに、世界的な長期金利上昇の影響もあるでしょう(図表2参照)。とくに最近はフランスを中心とした欧州の長期金利上昇が注目されています。

【図表2】米独の10年債利回り(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル買い要因となった世界的長期金利上昇

世界的な金利上昇局面では、特に日欧と比べた場合、相対的に米金利の水準が高いため、金利差は米ドル優位に拡大します。ユーロ/米ドルは先週(9月28日週)にかけて2025年5月以来の1.12米ドル台まで下落しました。これは基本的には、独米金利差(米ドル優位・ユーロ劣位)拡大に沿ったものでした(図表3参照)。

【図表3】ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2026年7月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

また、投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、7月末の米ドル高・円安阻止を目的とした日米協調介入以来、米ドル買い越しが大きく縮小しましたが、先週(9月28日週)にかけては買い越しが再拡大しました(図表4参照)。これは、円以外の通貨に対して、米ドル買い越しが軒並み大きく拡大したためです。

【図表4】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

10月FOMCでの2ヶ月連続利上げ観測は後退

このように世界的な金利上昇が米ドル買い材料になったとみられる一方で、10月2日発表された9月雇用統計は予想より弱い結果になりました。その結果を受け、10月FOMC(米連邦公開市場委員会)での2会合連続の利上げ観測は後退し、金融政策を織り込む短期金利は上昇一服となりました(図表5参照)。

【図表5】米2年債利回りとFFレート(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そしてもう1つ、米ドルの上値を抑制する要因となったのは、米ドル売り・円買い介入への警戒感だったのではないでしょうか。9月に一時152円まで米ドル安・円高となりましたが、その後米ドル高・円安が再燃すると、158円台で日本の通貨当局による「レートチェック」が観測されました。これは為替介入の前段階の動きとみられていることから、この水準を超えて159円より米ドル高・円安が進むと、実際の米ドル売り・円買い介入が行われる可能性は高いと警戒されているでしょう。

159円以上では米ドル売り・円買い介入の可能性?

一時152円まで米ドル安・円高となった局面では、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円買い越しが急拡大しました(図表6参照)。この統計はおもにヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映しているとみられています。

【図表6】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ヘッジFが円買い急拡大に動いた頃、ベッセント米財務長官による日本への金融・財政政策に関する発言が相次ぎました。それらは基本的に、日本に対して円高をもたらす政策を期待する発言だったことを考えると、ヘッジFとベッセント長官は円高誘導を共通の目的として連携していたように感じられます。

そのヘッジFの円買いポジションの損益分岐点の目安である120日MA(移動平均線)は、足下で159円台です(図表7参照)。もしもヘッジFとベッセント長官が連携しているなら、ヘッジFの円買いポジションが含み損に転じるのを阻止するべく、159円を大きく超える米ドル高・円安に対しては為替介入を再開する可能性もあるでしょう。

【図表7】米ドル/円と120日MA(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週(10月5日週)の注目点=懸念が強まる世界的な長期金利上昇

今週(10月5日週)の米ドル/円予想レンジは155.5~159.5円

今週(10月5日週)は特に目立ったイベントはありませんが、世界的な長期金利上昇への懸念が強まっていることから、その行方などが引き続き注目されることになりそうです。すでに見てきたように、世界的な長期金利上昇は基本的には米ドル買い要因となっているようです。ただそれがさらに進んだ場合、株価への悪影響とならないかも要注意でしょう。

今週(10月5日週)の米ドル/円は、世界的長期金利上昇が米ドル買い要因となる一方で、159円以上では円安阻止介入への警戒感もあることから、156~159円を中心に動きにくい展開が続くのではないでしょうか。予想レンジは155.5~159.5円にしたいと思います。