現在のファンダメンタルズ:日銀会合後の円安と日米首脳会談での円安牽制

先週(9月21日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  156.578円~159.035円    157.329円
・ユーロ/米ドル:1.13593ドル~1.14953ドル    1.13919ドル
・ユーロ/円:  178.921円~180.823円       179.228円

先週(9月21日週)の為替市場:日銀会合後に円安加速もトランプ米大統領が円安牽制

9月21日週の米ドル/円は週初21日に156.578円の安値をつけたあとは24日まで一貫して円安の動きが続き159.035円の高値をつけ、25日に週末前のポジション調整から円の買い戻しが強まるという展開になりました。材料は大きく2つ、ひとつは9月18日の日銀会合、そしてもうひとつはトランプ米大統領の発言です。

9月18日に開かれた日銀会合では、市場予想通り0.25%の利上げが決定されました。植田日銀総裁も会見で、今後も政策金利を引き上げていくと述べ、決してハト派の内容ではありませんでした。しかし、決定会合において今回の利上げに反対した委員が2名いたということが、今後の日銀会合での追加利上げの足枷となる可能性を感じさせる結果となりました。

仮に反対票がさらに増えても多数決のため、利上げの流れに変化は無いのですが、政策金利が1.25%の時点において、全会一致ではなかったということが、9月25日までの円安トリガーになりました。

その後は米金利上昇(10年債利回りが5.22%台と2007年以来の水準に上昇)と中東情勢長期化懸念(イランによる紛争拡大と長期化の懸念表明)も加わって米ドル高と円安の動きが続きましたが、大きく流れを変えたのは25日東京前場に出た片山財務相の発言です。片山財務相の「日米首脳会談でトランプ米大統領から円安懸念が示された」との発言を受け、それまで円売りに動いていた向きが週末を前に一斉にポジションを調整しました。

片山財務相は、止まらない円売りの動きに対してトランプ米大統領の発言を利用した面が大きいと考えられます。米国側が現在の円安にどの程度の懸念を持っているか次第ではあるものの、短期的には戻り売りが出やすい地合いになってきたようです。

ただし、円高に動いたと言っても先週初の円高水準156.578円をトライする動きにまではならなかったため、ここからは同水準を割り込む動きが出てくるかどうかを見ながら戻り売りを考える参加者が増えていくと見られます。

今週(9月28日週)金曜に発表される米国雇用統計は注目材料ではありますが、FRB(米連邦準備制度理事会)としては現状雇用よりもインフレを重視するスタンスのため、よほどコンセンサスから大きく乖離した数字が出ない限り、一時的な動きに留まる可能性が高いと思います。

米ドル/円チャート(週足)、下降トレンド継続

長期的な判断は週足で行います。

米ドル/円は移動平均線の下側での動きを続けているため、下降トレンドが継続です。今週(9月28日週)の時点で移動平均線は159円台前半をごく緩やかに下げていますが、さすがにトランプ米大統領による円安牽制発言があった後のため、移動平均線を上回るような動きは見られないと考えます。

円安に戻す可能性がある材料としては、米金利上昇の動きと中東情勢長期化懸念で、これまでと変わらないため、大きく円安に戻していくには何か新たな材料が必要になってくるでしょう。また、シカゴ通貨先物の円ポジションは9月15日時点で約12万枚と極端に円買いに動いた後、9月22日時点で約7.2万枚の円買いとなっており、投機筋も円買い方向に転じてきた点は気にしておいたほうが良さそうです。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
週足チャートの見方
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

米ドル/円チャート(日足)、9月14日にGC(ゴールデン・クロス)へと転じるも勢いは弱まりつつある

短期的な判断は日足で行います。

2本の移動平均線は9月2日のDC(デッド・クロス)の状態から9月14日にはGC(ゴールデン・クロス)へと転じ、9月25日までは上昇トレンドを継続していましたが、26日の下げによりその勢いは弱まりつつあります。

今週(9月28日週)前半の動き次第ではあるものの、いつDCに転じてもおかしくありません。長期トレンドが下降トレンドを示している以上、次のDCでは改めて下げを見込む向きが増えてくる可能性があるでしょう。

週足・日足チャートともに平行下降チャンネル(青)を引いていますが、まだ幅も広くこの平行チャンネルが妥当かどうかははっきりしません。ただ、今後の展開を考える上で現状はチャンネルの上限に近いという認識で良さそうです。9月安値152.886円と先週高値159.035円の38.2%押しにあたる156.686円、半値押しの155.961円が当面の下値のターゲットとなりやすい水準です。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
日足チャートの見方
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

ユーロ/米ドルは下降トレンドに転換

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

週足チャート(図表3)ではユーロ/米ドル終値が先々週(9月15日週)、先週(9月21日週)と2週連続で移動平均線を下回る動きとなったため、下降トレンドに転換しました。長期的にも着実に上値を切り下げる動きを続けていますが、6月から7月にかけての安値圏が底堅く、6月安値1.13241をトライできるかどうかで今後の展開が変わってきます。

同水準を下抜ければユーロ安の動きは加速しそうですが、1.13台前半から半ばで買いが出てくるようだと緑のレジスタンスラインと青のラインとで構成される下降ウェッジの中での動きが続くことになるでしょう。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=下降トレンド
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表4)では9月14日にデッド・クロス(DC)に転じた後は現在もその状態を継続しています。2本の移動平均線の距離も適度に開いたまま、平行の動きを続けていますので、今週(9月28日週)もユーロ/米ドルの上値が重い展開は続いています。下値の目処は週足の項に書いたとおり、1.13台の半ばから前半、この水準を下抜けるかどうかがテクニカルには最重要ポイントとなっています。

【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=9月14日にデッド・クロス(DC)に転換し、継続
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円週足は下降トレンド継続

ユーロ/円(図表5)は移動平均線を下回って推移しており、下降トレンド継続です。8月3日週の安値をいったん下抜けたものの現状は足踏み状態となっています。米ドル/円は9月25日の動きを受け、円高方向へ転換した可能性が高まっています。また、ユーロ/米ドルも一段安につながるかどうかは今後の展開次第ではあるものの、ユーロ/円は下げバイアスがかかりやすい地合いにあると見て良さそうです。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=下降トレンド
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では9月2日のデッド・クロス(DC)から9月15日にはゴールデン・クロス(GC)へと転じました。現在もGC状態を継続していますが、米ドル/円とともにユーロ/円も9月25日に大きく下げたので、今週(9月28日週)前半の動き次第では、いつDCに転換してもおかしくはないでしょう。長期トレンドと同方向という点では次のDCでの売りを考えたいところです。

それでは今週も良いトレードを!

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=9月15日にゴールデン・クロス(GC)に転換、変化の兆しか
出所:マネックストレーダーFX