霞が関、永田町人事と強く連動する米ドル/円
8月上旬、霞が関の主要官庁の幹部人事が公表された頃から、日本の長期金利上昇が再燃した。そして、それに連れる形で、日米協調介入を主なきっかけに一時155円まで下落した米ドル/円は反発が勢いづくところとなった(図表参照)。
この霞が関幹部人事では、特に「将来の財務次官有力候補」とされた人物が、「左遷」された可能性が話題になった。そしてそれは、高市総理が公約した消費税減税に抵抗したことに対する、いわゆる「懲罰人事」との見方が取り沙汰された。
そうした中で、協調介入などにより155円まで下落した米ドル/円は、再び米ドル高・円安に大きく戻る動きとなった。それは、「懲罰人事」が、財源が曖昧なままの消費税減税などによる財政規律への懸念から、「長期金利上昇=円安」を再燃させた結果のようにも見えた。
日本の10年債利回りが3%を突破=財政規律への懸念による円売りは続くのか?
その後の「長期金利上昇=円安」の動きでは、長期金利である10年債利回りが先週(8月31日週)にかけて3%の大台を一時的に上回った。それに連れる形で続いた米ドル高・円安は、介入を警戒しつつも、8月末、ジャクソンホール会議でのウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言をきっかけに早期の米利上げ観測が再燃すると、160円の大台を超えるところとなった。
以上のように見ると、積極財政を掲げる高市政権が、それに対する抵抗派を人事で退けたことが、財政規律への懸念から債券売りや円売りを促す状況が続いたように感じられる。
9月に入ってからの内閣改造の意味するところとは?
米ドル/円は、9月に入って間もなく急落した。この数ヶ月と異なり、為替介入が確認されない中で比較的大きな米ドル/円の下落が起こったのは、高市内閣の内閣改造が取り沙汰される中でのことだった。
これについて、一時は自民党幹事長も含め、与党及び内閣人事の大幅な刷新との観測が広がっていた。ところが、自民党の麻生副総裁、鈴木幹事長、そして片山財務大臣など、元財務大臣や現職の財務大臣といった、いわゆる「財務省系」の関係者はいずれも重要ポストにとどまるとの見通しとなっているようだ。そうした中で10年債利回りは低下に転じ、それに連れる形で米ドル/円も下落に転じるところとなった。
米ドル/円の行方で大前提になる「高市リフレ」を巡る動き
以上のように見ると、この間の米ドル/円はかなり永田町及び霞が関という政官界の人事との連動性が強かったようだ。そしてそれは、人事が、高市政権のいわゆる「責任ある積極財政」に対する賛否の目安になってきたことの影響が大きいと考えられる。具体的には、高市財政へ賛成=財政懸念から「長期金利上昇=円安」、高市財政へ反対または慎重=財政懸念後退で「長期金利低下=円高」との関係式が基本になってきたのではないか。
足元では、内閣改造で財務省系の人物が留任する可能性が高まり、それが財政規律維持のメッセージと受け止められたことから、「長期金利上昇=円安」の動きが反転した。ただし、消費税減税に象徴される積極財政は高市総理の公約であり、その見直しは簡単ではなさそうだ。そう考えると、このまま財政規律への懸念後退で「長期金利低下=円高」へ向かうという楽観シナリオはまだ描きにくいのではないか。
