片山総務相は先週金曜日に、現在1000万円の郵貯限度額の引き下げについて「検討対象にしなければいけない」と言われたそうです。元々300万円であったこの限度額は88年以降順次引き上げられて91年以降は1000万円となりました。
私は前から常々この限度額を以前の300万円、延いては100万円程度にまで引き下げてはどうかと提言して来ました。限度額が引き下げられれば、現在250兆円にものぼる郵便貯金−それは財政投融資制度を通して政府がいろいろなことに使っている訳ですが−はある程度減少するでしょう。日本一お金の使い方が下手であった政府部からお金が他所へ移ることは構造改革にも好ましいことです。片山大臣は郵貯の民営化など今後の流れ次第によっては限度額引き下げもない場合もあることを示唆されたようですが、肥大化した国のバランス・シートをある程度スリム化することは恐らくどのような場合であっても望ましいことに思われるので、是非前向きかつ迅速に検討して頂きたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。