中東発のエネルギーショックは、世界の主要中央銀行の金融政策を一変させました。米国は年初、年1~2回の利下げを織り込んでいましたが6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では次の一手は利上げとなるスタンスに豹変。ECB(欧州中央銀行)は6月に2023年以来の利上げを実施。BOE(英国中央銀行)も年内利上げが視野に入っています。いち早く利上げに踏み切ったのは豪州で、2026年に入ってすでに3回の利上げを実施しています。そして7月8日、3年ぶりの利上げを決定したのがニュージーランド。オセアニア通貨に注目が集まっています。
豪州:主要国最速で3回利上げ、いまは「効果の見極め」局面
RBA(豪準備銀行)は年初からすでに3回の利上げを実施。政策金利を4.35%まで引き上げています。
背景にあるのは粘着性の高いインフレです。5月の豪州の総合CPIは前年比4.0%へ鈍化したものの、基調インフレを示すトリム平均は3.4%から3.6%へむしろ加速し、目標レンジ(2~3%)を大きく上回ったままです。直近6月会合では全会一致で金利を据え置いており、利上げサイクルにもいったんブレーキがかかりました。しかし、RBAは声明で「必要なら追加利上げも含め、必要なことは何でもやる」と明言しており、打ち止め宣言はしていません。
コモンウェルス銀行、ナショナルオーストラリア銀行、オーストラリア・ニュージーランド銀行は年内の金利据え置きを予想する一方、ウエストパック銀行は追加利上げ(8月が最有力)を見込んでいます。エコノミスト調査では55%が年内あと1回以上の利上げを予想。次回会合の政策金利発表は8月11日13時30分(日本時間)です。
NZ:7月会合で3年ぶりの利上げを決定
NZの政策金利は2025年11月に2.5%から2.25%に引き下げられてから据え置かれていました。しかし、7月8日のRBNZ(ニュージーランド準備銀行)会合で利上げに転換、政策金利は2.5%に引き上げられました。利上げは3年ぶりです。
原油価格が急騰し、物価圧力がRBNZの目標レンジ(1~3%)を大きく超えて高まったことが主因です。RBNZは声明で「さらなる刺激策の縮小(追加利上げ)が必要になる可能性が高い」と表明し、追加引き締めの姿勢を鮮明にしました。
債券市場やエコノミストの間では、年内にあと1~2回(合計0.25%~0.50%)の追加利上げが行われ、政策金利は2.75%~3.00%まで引き上げられるとの見方が強まっています。
金利差に注目すれば豪ドル/円とNZドル/円は買いだが、より注目は?
日本も利上げサイクルにある、とはいえ政策金利は1%。一方、豪州は4.35%、NZは2.5%です。スワップポイントを享受できる円売り豪ドル買い、NZドル買いに妙味があると考える投資家が多いと思われます。
世界の株式市場が大きく下落することがなければ、リスクマネーはオセアニア通貨に向かうことが予想されます。特に、利上げを主導してきた豪ドルより、3年ぶりに利上げ転換したばかりで、これから利上げサイクルがスタートする、という点で出遅れ妙味があり、伸びしろが大きいものと思われます。
ただし、米ドル/円相場の円安がさらに進行すると、政府・日銀の為替介入が入る可能性が強く、その時は豪ドル/円やNZドル/円も一緒に円高方向に動きます。米ドル/円の動向にも注意を払っておきましょう。
