金融市場全体としてはリスクオンを先取りする動きが強まる

週末はイラン情勢を巡る報道に進展が見られつつありました。5月23日にトランプ米大統領がSNSで「合意が近い」と示唆したことで、市場では停戦合意、あるいは停戦の延長に対する期待が急速に高まりました。イラン側は一部報道内容を否定しつつも、協議の存在や一定の進展については完全には否定していないように見受けられ、マーケットでは中東情勢の一服期待が広がっています。

これらを受けて、5月25日の東京時間の株式市場は上昇しています。また、先週から米国株式指数も強い推移をみせており、S&P500やNASDAQなど主要指数は高値圏で推移しており、金融市場全体としてリスクオンを先取りする動きが強まっています。

一方、暗号資産市場も反発の兆しを見せているものの、BTCはまだ先週高値を明確に上抜けているわけではありません。5月23日には一時的に先週安値を更新しており、現時点では「本格的な上昇再開」というよりも、下落後の自律反発、またはショートカバー主導の戻りと捉えるのが妥当だと考えます。

BTC(ビットコイン)、反落後の反発を意識し、戻り売り戦略へ

BTC、テクニカル面では一度上昇トレンド失速か

BTC/JPY日足チャート分析です。BTCはSMA200(橙)から反落し、その後SMA30(黄色)も下回りました。現在はSMA90(水色)を挟んだレンジ相場に移行しつつあるように見えます。MACDもダイバージェンス発生後、教科書どおりに反落しており、テクニカル面では一度上昇トレンドが失速した格好です(図表1)。

ただし、一定レベルの下押しも入ったため、個人的にはそろそろ短期的な反発が入ってもおかしくないタイミングではないかと考えています。

【図表1】BTC/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ポイントは、MACDが0.00付近まで下押ししたタイミングです。この水準まで低下してくると、下落トレンドの勢いが一服しやすくなり、短期的な買い戻しや自律反発が入りやすくなります。そのため、週前半にかけては数日程度の反発フェーズを想定しておきたいところです。

BTCは暫定で2,528億円相当の強制ロスカット注文が発生しやすい状況

流動性マップを確認すると、次のような状況が見えてきます。BTC価格が1,254万円程度まで上昇すると、現時点の推計では2,528億円相当の強制ロスカット注文が発生しやすい状況となっています。つまり、先週末までの下落局面で勢いよくショートポジションを積み上げたトレーダーにとっては、この水準が損切りラインになりやすいということです(図表2)。仮に反発が入るとすれば、まずはこの水準までのショートカバーを伴った上昇が期待できるのではないでしょうか。

【図表2】BTC/JPY流動性マップ
出所:CXR engineering社で作成
※海外の主要5取引所(Binance、OKX、Bybit、MEXC、Gate.io)におけるBTCUSDTを円建て換算

特に、イラン情勢で停戦合意、あるいは停戦延長に関するポジティブなヘッドラインが出た場合、短期筋のショートカバーが入り、BTC価格を一段押し上げる展開も想定されます。ただし、これはあくまで短期的な買い戻し主導の上昇であり、本格的な上昇トレンド再開と判断するにはまだ材料不足です。よって、上昇局面では追随買いよりも、戻り売りのタイミングを探る戦略が有効ではないかと考えています。

BTC/JPY4時間足チャート:逆三尊のネックラインを意識

BTC/JPY4時間足チャート分析です。4時間足では、SMA90(水色)とSMA200(橙)が推移している1,250万円手前が、短期的な戻りの目安となりそうです。また、チャート形状としては逆三尊に近い形になっており、短期的には底打ちを意識しやすい局面になりつつあります(図表3)。

前述の流動性マップを加味すると、BTCはもう少し上昇する余地がありそうです。仮に上昇が続いた場合、4時間足では逆三尊のネックラインを上抜ける形となるため、1,245万~1,255万円付近にストップロス注文が集中していることにも納得感があります。

【図表3】BTC/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ただし、この上昇が進んだ場合、個人的にはストップハンティングを狙ったブルトラップになりやすいと考えています。そのため、1,254万円付近まで上昇した場合は、むしろ戻り売りのチャンスとして意識したいところです。

すでにショートポジションを保有している場合は、一度ポジションを縮小し、上昇後に再度売り直す戦略も選択肢となるでしょう。逆に、ここから新規で売る場合は、短期的なショートカバーに巻き込まれるリスクがあるため、エントリー水準には注意が必要です。

ETH(イーサリアム)は34万5,000円への回復期待

続いて、ETH/JPYの4時間足チャート分析です。ETHもBTCと連動して反発する場合、戻りの目標はSMA90(水色)が推移している34万5,000円付近になるのではないでしょうか。現在のチャート形状を見る限り、ネックラインを上抜けた場合、短期筋のストップロス注文を巻き込みつつ、この水準まで上昇する展開は十分に現実的だと考えています(図表4)。

【図表4】ETH/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ここ最近の暗号資産市場では、週初から水曜日あたりまでリスクオンの値動きが続き、その後、週末にかけて反落するパターンも目立っています。そのため、今週(5月25日週)も水曜日前後まではリスクオンの地合いを意識しつつ、上値では徐々に戻り売りを検討する方針で臨みたいところです。

週末に発生した悪材料が、週初のヘッドラインによって短期的に消化され、買い戻しにつながるケースは少なくありません。今回もイラン情勢を巡る停戦合意への期待が市場心理を支え、BTC・ETHともに短期的な反発局面に入る可能性があります。

ただし、反発の主因がショートカバーである場合、その上昇は長続きしないことも多いため、上値追いには慎重であるべきでしょう。今週前半は反発を見込みつつも、上昇したところでは戻り売りを意識する戦略を継続したいと思います。