先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続落と、揃って下落となりました。ただ、中国本土の株式市場は9月16日(火)に大幅下落となったものの、その後は戻して終わっており、引け味は悪くありません。13日(土)に発表された8月の中国の各種経済指標は小売売上高が11.9%増と7月実績の12.2%増、市場平均予想の12.1%増を共に下回り、鉱工業生産も6.9%と、7月実績の9.0%増、市場平均予想の8.8%増を共に大きく下回るなど予想以上に悪い結果でした。ちなみに、1-8月の固定資産投資も16.5%増と1-7月実績の17.0%増、市場平均予想の16.9%増を下回っています。しかし、週初9月15日(月)は追加の景気刺激策への期待から上昇してスタートしました。

ところが、8月の中国の海外直接投資(FDI)が市場平均予想の前年比0.8%増を大幅に下回る14.0%減と発表されたことをきっかけに中国経済の先行きに対する懸念が高まり、16日(火)は大幅下落。この日はその他、9月後半に予定されているIPOへの資金シフトも懸念されました。しかし17日(水)には中国人民銀行(中央銀行)が景気減速を防ぐために国内5大銀行に5000億元の資金供給を決定したことから株価は盛り返すと、18日(木)も中国人民銀行が公開市場操作でオペレーション金利を2ヶ月ぶりに引き下げたことが好感されて続伸。19日(金)もその流れを引き継ぎ、追加緩和期待が膨らむ形で続伸となり、週を終えています。経済指標は鮮明な下落傾向にある中で、追加刺激策期待で上昇しているというのが中国本土株の最近の傾向です。

香港株も同じような株価推移となっています。ただ、香港株は中国本土株よりも景気刺激策への期待が弱く、むしろ中国経済の先行き懸念が大きくなっている印象があります。実際のところ、ここのところ香港ハンセン指数は弱い動きとなっており、先週は50日移動平均線を下回りました。今週は9月23日(火)に9月のHSBC中国製造業景況感指数が発表される予定です。この数字が厳しい数字になれば、いよいよ追加景気刺激策への期待感が高まってくることになりそうですが、市場が期待するほどの景気刺激策や金融緩和策を発表出来るかどうか、中国政府も正念場に差し掛かっているように思えます。

コラム執筆:戸松信博