「レートチェック」をきっかけに起こった米ドル「下放れ」
ユーロ/米ドルは2025年6月頃から1.15~1.18米ドルを中心とした小動きが続いてきた。ところが1月23日、日米の通貨当局が為替介入の前段階とされる「レートチェック」に動いたことをきっかけに、米ドル安・円高が大きく進んだ。これに伴い、ユーロ/米ドルも小動きのレンジを「上放れ」し、一時は1.2米ドルまで一段高となった(図表1参照)。これを米ドルの側から見ると、米ドルの「下放れ」により米ドル安の余地が拡大したという意味になる。
同じようなことが豪ドル/米ドルでも見られた。豪ドル/米ドルも、やはり「レートチェック」をきっかけに豪ドル高・米ドル安が急拡大すると、2025年以降の豪ドルの高値と高値を結んだ豪ドル上昇トレンドラインをブレークした。つまり対豪ドルでも米ドルは「下放れ」し、米ドル安余地が急拡大したわけだ。
こうした米ドル安の急拡大に対して、ベッセント米財務長官は米ドル売り・円買い介入は「断じて行っていない」と強く否定するとともに、強い米ドル政策の方針に変わりないことを確認した。これを受けて、ユーロと豪ドルは対米ドルで反落となった。ただ現時点では、それまでの上値抵抗線(レジスタンス)にサポートされて「上放れ」している。このため、米ドルの「下放れ」がいわゆる「ダマシ」ではなかった可能性が強くなっている。
広がる「米ドル離れ」=表面化した米ドルの脆弱性
このような米ドル安拡大の背景には、トランプ政権への不信感から「米ドル離れ」が広がってきた影響がありそうだ。この「米ドル離れ」は、実際には米ドル売り・円買い介入が行われたわけではなかったものの、米ドル高・円安をけん制する「レートチェック」に日本だけでなく米当局も参加したことをきっかけに、弾みがついたのではないか。その意味では、米ドルも急落リスクといった脆弱性を抱えていることが、「レートチェック」をきっかけに図らずも表面化してしまったということかもしれない。
衆院選挙の終了後、それまでの米ドル高・円安から米ドル安・円高へ急反転が起こった。その背景には、円以外の通貨に対する米ドルの「下放れ」によって、テクニカル面で米ドル安リスクが拡大し、その影響が米ドル/円にも波及したことがあったのではないか。
