2022年の円安拡大は日本の貿易赤字拡大が主因だったのか?
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに原油価格が急騰した。これを受けて日本の輸入額は急増し、それが主因となって、2022年の貿易・サービス収支の赤字は過去最高に拡大した。その中で、110円台でスタートした米ドル/円は一時150円を超えるまで大幅な米ドル高・円安が進んだ(図表1参照)。
ただし、2023年にかけて原油価格が下落すると、日本の輸入額も急減し、貿易・サービス赤字も急縮小となった。にもかかわらず、米ドル高・円安は2023年に改めて150円を超えるまで拡大し、そして2024年にはついに160円を超える「歴史的円安」が起こった。それはなぜだったか。
2022年以降の円安拡大の主因は金利差の急拡大
2022年に米ドル高・円安が150円を超えるまで急拡大した動きを説明できそうなのは、日米金利差(米ドル優位・円劣位)の急拡大だった。この日米金利差の拡大は2023年も再燃、その中で米ドル高・円安は改めて150円を超える動きとなった(図表2参照)。以上のように見ると、2022年以降の米ドル高・円安拡大をもたらしたのは、原油価格急騰、それに伴う日本の輸入額急増、それを受けた貿易赤字急増ではなく、日米金利差(円劣位)の急拡大だったのだろう。
2026年に入り、「イラン危機」発生を受けて原油価格が急騰した。これに伴い、日本の輸入額や貿易赤字の急増が予想されている。では、それはさらなる円安をもたらすのだろうか。ただこれまで見てきたことからすると、それよりも金利差などを受けた資本移動が鍵を握ることになるのではないか。
2025年以降の円安は日本の財政懸念に伴う資本流出が主因
やや悩ましいのは、2025年以降、米ドル/円と日米金利差のかい離が異例なほどに広がったということだ。改めて米ドル高・円安が150円を大きく超えた動きは、日米金利差が縮小に向かう中で起こった。
金利差縮小を尻目に広がった円安をある程度説明できそうなのは、日本の長期金利上昇だった(図表3参照)。その長期金利上昇は、日本の財政規律への懸念の影響が大きいとされてきた。その意味では、さらなる円安に向かうかどうかは、日本の貿易赤字の急増よりも、財政懸念による資本流出が続くかが鍵なのではないか。
2022年以降の円安局面でもう1つの主役だったのは投機円売り
2022年以降の円安を、日本の貿易・サービス収支よりもむしろ説明できそうなもう1つの動きは、投機筋の円売りだった。特に2024年、日米金利差縮小を尻目に161円という「歴史的円安」が起こった動きは、過去最高規模に拡大した投機円売りの影響が主因と考えられた(図表4参照)。
その投機円売りは、2025年のトランプ政権発足以降は全く拡大せず、むしろ一時は異例なほどに円買いが拡大した。ただ2026年に入ると投機円売りが再燃し、4月以降は、2022年の円安阻止介入局面に近いほど円売りが拡大した。その意味では、貿易赤字急増以上に、投機筋の円売りが続くかが、さらなる円安が起こるかを考える上での鍵になるのではないか。
