13週移動平均線上を維持できるかが当面の注目点
2025年も残すところあと1週間ほどとなりました。2025年の株式相場は、4月にトランプ米大統領が導入した相互関税の影響で大幅安となりましたが、その後はほぼ一本調子の上昇が続きました。11月の取引時間中には52,636円を記録し、史上初の5万2,000円台に乗せる場面もありました。ただその後は、5万円を挟んだもち合いが続いており、2026年相場の行方が気になるところです。そこで今回は、中長期の視点に立って2026年の相場展望について解説したいと思います。
チャートを見ると、12月23日現在、週足では上向きの13週移動平均線がサポートとなり、株価が下げ止まっているのが分かります。そのため、年末年始にかけてこの13週移動平均線上を維持できるかが、当面の注目ポイントになるでしょう。仮に13週移動平均線上を維持できれば、上昇トレンドを維持して、2025年10月31日につけた終値ベースの過去最高値を上回ることも、視野に入りそうです。
※移動平均線の期間は13週(グレー線)、26週(赤線)、52週(青線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10週(青線)で設定し、モメンタムの3週移動平均線(赤線)も表示
一方、13週移動平均線上を維持できず、下回って戻せなくなる場合、26週移動平均線辺りが下げ止まりの目途になりそうです。仮に26週移動平均線に到達しても、中長期の上昇トレンドに変化はないと考えられます。もち合いを下放れた場合は、すぐに押し目買いを入れるのではなく、下げ止まりを確認してから行うことが重要になるでしょう。
フィボナッチで探る、日経平均株価の高値目途とは
2026年の当面の高値の目途について、重要なカギになるのが日経平均株価の値動きから見た「値幅」です。例えば、日経平均株価は2024年7月に42,426円の高値をつけましたが、翌8月に急落して31,000円台まで下落し、長い期間もち合いが続きました。
一方で、2025年4月にはトランプ米大統領による相互関税の導入を受け、30,792円まで下落する場面がありました。こうした大きな値幅が発生していることから、この値動きをもとに高値の目途を探ってみたいと思います。
そこで活用したいのが、フィボナッチリトレースメントです。フィボナッチリトレースメントには、いくつかの水準がありますが、カギになるのが大きな値幅です。2024年7月の高値から2025年4月までの最大値幅に注目すると、この最大値幅は11,634.03円あります。この値幅を2024年7月の高値に上乗せしてみると、54,060.80円が目途とすることができます。
これは、下落した値幅分だけ高値から上昇するという、いわゆる「倍返し」の考え方から導き出したものです。したがって、このまま上昇トレンドを続けた場合、54,000円辺りが当面の高値の目途になると考えます。
モメンタムの低下に要注意
最後は上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムについてです。モメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が低下しているのが分かります(上図)。株価はもち合いを続けているものの、上昇の勢いは徐々に低下していることを示しており、このまま低下が続くかどうかが注目ポイントになります。
仮に年末年始に、モメンタムとシグナルの低下が続き、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って戻せなくなるようですと、13週移動平均線を下放れることが視野に入るため、押し目買いは控えるか、前述のように下げ止まりを確認してから行う必要があると思われます。
一方で、2本線の低下が続いても限定的だったり、2本線ともに0ライン上で上向きに変化して上昇したりするようですと、上昇の勢いが強まって13週移動平均線上を維持したり、上回ることが視野に入るでしょう。
