東京市場まとめ

1.概況

日経平均は29円高の49,413円をつけ、反発して寄付きました。寄付きは自律反発狙いの買いが先行するも、早々に下落に転じ、直後の9時4分には305円安の49,077円をつけ、本日の安値を更新しました。その後は徐々に持ち直し、前場後半にかけて再び上昇すると、170円高の49,553円で午前の取引を終えました。

後場も総じて方向感に欠ける展開となりました。中盤には再び下落に転じる場面もみられましたが、後半にかけて持ち直した日経平均は、最終的に128円高の49,512円と反発して取引を終えました。TOPIXは1ポイント安の3,369ポイントで続落しました。

新興市場では東証グロース250指数が2ポイント安の647ポイントと、こちらも続落して取引を終えました。

2.個別銘柄等

非鉄金属のDOWAホールディングス(5714)は一時7.7%高の7,043円をつけ、年初来高値を更新しました。16日、国内証券が同社の投資判断を5段階で真ん中の「3(中立)」から上から2番目の「2(アウトパフォーム)」に、目標株価を従来の4,700円から7,700円へと大幅に引き上げたことが材料視され、買いが集まりました。

ニッスイ(1332)は5.7%安の1,159円をつけ、3日ぶりに反落となりました。16日、サーモンの養殖や加工・販売を手がけるチリのペスケラ・ヤドランを完全子会社化すると発表したものの、投資額が1億3300万ドル(約205億円)と同社の2025年3月期の純利益予想(253億円)に匹敵する規模であったことから、財務負担への影響を懸念した売りが出ました。

住友林業(1911)は2.4%安の1,568円をつけ、続落となりました。米国時間16日の取引終了後に米住宅建設大手のレナー[LEN]が市場予想を下回る決算を発表し、時間外取引で下落した流れを受けて、米国で住宅事業を展開する同社にも連想売りが出ました。

電池や産業部材を扱うマクセル(6810)は一時5.7%高の2,505円をつけ、年初来高値を更新しました。16日、同社の従来製品に比べ約4倍の容量となる全固体電池を開発したと発表し、これにより用途が拡大する製品への需要増が業績拡大につながるとの見方が買い材料となりました。

建築確認・検査を手掛けるERIホールディングス(6083)はストップ高水準となる18.0%高の4,585円をつけ、年初来高値を更新しました。16日、2026年5月期(今期)の純利益が前期比2.2倍の28億円を見込むと発表し、従来予想(17億円)からの大幅な上方修正を好感する買いが殺到しました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は自律反発の買いも寄与し、小幅に反発しました。労働市場を中心に米国マクロ経済の動向に不透明感があり、前日の米国市場が高安まちまちとなったことで、日本株の上値も重い一日となりました。

明日に向けては、今夜のFRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言に注目が集まります。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁やアトランタ連銀のボスティック総裁、ウォラー理事など複数の当局者が発言する予定で、直近の雇用統計を受けて米国経済の先行きをどう見ているか、利下げのペースに変更があるかどうかが焦点となるでしょう。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)