モトリーフール米国本社 – 2025年11月23日 投稿記事より

コスト優位性によって、アルファベット[GOOGL]はAI分野で最大の勝者となる可能性がある

投資家の多くは、人工知能(AI)で「どのチップメーカーが勝者になるか」に注目しています。しかし、実際のところ、それは戦いの半分にすぎません。現在、エヌビディア[NVDA]がGPU(グラフィックス処理装置)市場を支配しており、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ[AMD]はGPU分野で存在感を高め、エヌビディアの牙城を崩そうと挑戦しています。同時に、ブロードコム[AVGO]は、企業がAI 処理に特化した独自のカスタムASIC(特定用途向け集積回路)を開発できるよう支援してきました。

しかし、「計算効率」がより重視されるフェーズに入ると、この環境で最も有利な立場にいる企業は、純粋なチップメーカーではなく、アルファベット[GOOGL]になるでしょう。では、「AI処理」の次の競争で、同社が最大の勝者となり得る理由を見ていきましょう。

計算効率と構造的な強み

AI分野で現在の最大のボトルネックは、半導体不足ではなく電力不足です。だからこそ、「計算効率」が極めて重要になっています。GPUは大量のデータを高速で処理するのに優れていますが、その分電力を大量に消費します。AIの学習段階(トレーニング)であれば、「一度きり」のコストで済みますが、推論は、大規模言語モデル(LLM)を運用するために継続的に必要となるコストであるため、「計算効率」の重要性はさらに高まります。

アルファベットはこの点で大きな優位性を持っています。同社は10年以上にわたり、グーグルが開発したオープンソースの機械学習ライブラリー「テンソルフロー」のフレームワーク専用に設計された独自のAI半導体を開発してきました。ブロードコムの支援もあり、他の顧客とのビジネスを獲得しました。そして、アルファベット社内での取り組みも見過ごせないものです。企業はブロードコムをベースにした専用ASICを導入し始めていますが、現在第7世代となっているアルファベットのテンソル処理ユニット(TPU)に匹敵するものを作り上げることは難しいでしょう。

アルファベットのTPUの大きな利点は、同社のクラウド・インフラとワークロードに最適化されている点です。これにより性能を向上させるだけでなく、半導体のエネルギー効率も高まり、消費電力を抑えることができます。これは大きなコスト面での優位性であり、推論がますます重要になるにつれてそのメリットはさらに高まるでしょう。

一方で、アルファベットは自社のTPUを顧客に販売していません。その代わり、顧客がTPUにアクセスするには、ワークロードをグーグル・クラウド上で稼働させる必要があります。そのことで、アルファベットはAI分野における複数の収益機会を取り込むことが可能になり、成長余地を広げることにつながります。

同様に見過ごせないのは、アルファベットがTPUを使って自社内の「AI処理」を稼働させているという事実です。独自に開発した半導体を使用することで、アルファベットは同社のジェミニAIモデルの開発や学習においてコストを抑えられますし、モデルの推論を実行する際にも、コスト面で有利です。オープンAIやパープレキシティAIといった競合モデルは、より高価で電力消費の大きいGPUに依存しており、アルファベットには構造的な強みがあります。

アルファベットジェミニ3基盤モデルは高い評価

AIが次の段階に進むにつれ、アルファベットの垂直統合は同社を「最大の勝者」へと押し上げる大きな要因になるはずです。これほどまでにAI技術のスタック(技術基盤)を完全な形で揃えている企業は、ほかには存在しません。アルファベットが最近発表した最新のジェミニ3基盤モデルは高い評価を受けており、投資銀行DAダビッドソンのアナリストは、「特定の分野では、この世代の最先端モデルに通常期待されるレベルをはるかに超える能力を備えている」と評しています。

一方、エヌビディアが最近、積極的に自社の顧客への投資を進めている背景には、オープンAIが自社のワークロードにTPUを試験導入し始めたというニュースがあると考えられます。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、この報道が出た後、エヌビディアはオープンAIとの契約を急ぎ、このAIモデルのスタートアップ企業に投資しました。この反応は、エヌビディアがアルファベットのTPUをいかに警戒し、評価しているかを示しています。

さらに、アルファベットはバーテックスAIといった高度なソフトウェア・プラットフォームも提供しており、顧客がジェミニを活用して独自のAIモデルやアプリを作成できるよう支援しています。また、同社は大規模な光ファイバー網を保有し、遅延(レイテンシー)を低減しています。クラウド・セキュリティの大手企業ウィズの買収も進んでおり、これもアルファベットのAI技術基盤に加わるでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Geoffrey Seilerはアルファベットの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アルファベット、およびエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ブロードコムを推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。